Jekyll2023-12-28T04:58:10+00:00https://taroyabuki.github.io/feed.xmlYabuki Taro’s Home Page2018/08/19 フィードのURLが変わりました。Yabuki Taro新刊のご案内:辻真吾・矢吹太朗『ゼロからはじめるデータサイエンス入門』2021-12-08T00:00:00+00:002021-12-08T00:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2021/12/08/a-book-about-data-science<p><img src="https://www.kspub.co.jp/book/detail/images/8e2cee80a3e43a0cbbecef67a945b93613c656b0.jpg" alt="書影" style="height:150px;" /><br />辻真吾・矢吹太朗『ゼロからはじめるデータサイエンス入門』(講談社, 2021)</p>
<p><a href="https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065132326">書店へのリンク集(版元ドットコム)</a></p>
<p><a href="https://github.com/taroyabuki/fromzero">サポートサイト</a></p>
<p>ネットのない時代,欲しいものが近所で見つからないとき,どうしてました?</p>
<p>小学生の頃,近所では売っていない(正確には,近所のお店のは子供には高すぎて買えない)おもちゃを安く売る店を友達と見つけて,通ったことがあります.</p>
<p>玉ノ井駅の近くにあったその店までは,自転車で30分くらいだったと思います.それだけ遠いと,偶然見つけたということはなさそうなのですが,見つけた経緯を思い出せません.</p>
<p>「玉ノ井に行ってくる」と小学生が言えば驚きそうなものですが,家族からは何も言われませんでした.常識がなかっただけかもしれません.</p>
<p>欲しかったのは,ビーカー,試験管,アルコールランプなどの実験器具です.♪こーこーろやーさしー,ラララ,科学↗の子↗♪</p>
<p>『ゼロからはじめるデータサイエンス入門』は,玉ノ井通いの友達の一人,辻真吾君(<a href="https://twitter.com/tsjshg">@tsjshg</a>)と書いた本です.</p>
<p>データサイエンスの入門書はすでにたくさん出版されていますから,何を今さらと思われるかもしれません.差別化の工夫はいろいろあるのですが,ここでは一つだけ紹介します.</p>
<p><strong>この本は「R・Python 対照データサイエンス」です.</strong></p>
<p>↓こういうことです.</p>
<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">RとPythonの「対訳・対照」とは具体的にどういうことなのか,ご覧に入れましょう. <a href="https://t.co/w2YkUljuKW">https://t.co/w2YkUljuKW</a> <a href="https://t.co/gyJNt87BHO">pic.twitter.com/gyJNt87BHO</a></p>— Taro Yabuki (@yabuki) <a href="https://twitter.com/yabuki/status/1468215895160135681?ref_src=twsrc%5Etfw">December 7, 2021</a></blockquote>
<script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
<p>別の例を使って少し詳しく説明します.有名な「アヤメのデータセット」の,sepal lengthのヒストグラムです(画像でクリックでソースコード表示.ちなみに,全ての例に完全なコードを付けました).</p>
<table>
<tr>
<td><a href="https://github.com/taroyabuki/fromzero/blob/main/figures/fig-r/04-r-hist1.R"><img src="https://github.com/taroyabuki/fromzero/raw/main/figures/fig-r/04-r-hist1.svg" style="width:300px;" alt="" /></a></td>
<td><a href="https://github.com/taroyabuki/fromzero/blob/main/figures/fig-p/04-p-hist1.py"><img src="https://github.com/taroyabuki/fromzero/raw/main/figures/fig-p/04-p-hist1.svg" style="width:300px;" alt="" /></a></td>
</tr>
</table>
<p>左がRの結果,右がPythonの結果です.ヒストグラムではデータのだいたいの様子がわかればいいので,これで終わりでいいかもしれません.しかしよく見ると,両者はかなり違います.</p>
<p>本書では,結果をそろえるために,R・Pythonともに設定を三つ追加しました(範囲,階級数,あと一つは?).</p>
<p>複数の言語を比べてみると,ふだんあまり気にしないことに気付きます.結果をそろえようとすると,一つの言語だけのときプラスアルファの勉強ができます.このプラスアルファの価値を認められる方には,本書を楽しんでもらえるはずです.</p>
<p>このプラスアルファの価値を認められないとか,そこに価値を見出している場合ではないという方にも,別の楽しみを提供できるかもしれません.雰囲気を見てもらえるように,ドラフト段階の画像を,サポートサイトに掲載しています(<a href="https://github.com/taroyabuki/fromzero/tree/main/figures">こちら</a>).</p>
<p>よろしくお願いします.</p>Yabuki Taro辻真吾・矢吹太朗『ゼロからはじめるデータサイエンス入門』(講談社, 2021)徳井直生『創るためのAI』(BNN, 2021)2021-01-16T00:00:00+00:002021-01-16T00:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2021/01/16/computational-creativity-and-beyond<p>AIの技術ではなく哲学について考えさせる本です.とはいえ,針の上で天使は何人踊れるか,といった話は皆無で,博士(工学)らしい(というと偉そうで申し訳ないのですが),抑制の利いた書き方をされています.</p>
<p>創作活動を「バベルの図書館の探索」に例えるのは単純化しすぎたろうと思い,『哲学探求』や『カウフマン、生命と宇宙を語る』を読み返すことになりました.(筆者と同じ研究室にいた頃に読んだ本なので,懐かしさからということもあるでしょう.20年くらい前のことです.探索されるのはPTYPEではなく,GTYPEまたはその表現方法ではないかと思うのですが,そこに本質的なものはないと著者は考えているのかもしれません. )</p>
<p>テクノロジーが関わる,主に芸術的な創造性についての話題を幅広く集めていて,資料的価値も高いです.(ただし索引がないので,電子版が出るならそれも入手したいところです.)</p>
<p>装丁デザインのテーマは,「100年前のAIの本」とのこと.
そういう時間スケールを意識して仕事をしたいものです.</p>
<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">徳井直生(<a href="https://twitter.com/naotokui?ref_src=twsrc%5Etfw">@naotokui</a>)『創るためのAI』(BNN, 2021)<br /><br />草稿を読ませてもらいました.<br />草稿を読んでいただきました.<br />ご恵贈御礼. <a href="https://t.co/xhVMnqv4GK">pic.twitter.com/xhVMnqv4GK</a></p>— Taro Yabuki (@yabuki) <a href="https://twitter.com/yabuki/status/1350479258183864320?ref_src=twsrc%5Etfw">January 16, 2021</a></blockquote>
<script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>Yabuki TaroAIの技術ではなく哲学について考えさせる本です.とはいえ,針の上で天使は何人踊れるか,といった話は皆無で,博士(工学)らしい(というと偉そうで申し訳ないのですが),抑制の利いた書き方をされています.新刊のご案内:『Webのしくみ』2020-10-21T00:00:00+00:002020-10-21T00:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2020/10/21/a-book-about-the-web<p><img src="https://www.saiensu.co.jp/bookImages/2020-978-4-7819-1477-0.jpg" alt="書影" style="height:150px;" /><br />矢吹太朗『Webのしくみ Webをいかすための12の道具』(サイエンス社, 2020)</p>
<p><a href="https://github.com/taroyabuki/webbook">サポートサイト</a></p>
<ul>
<li><a href="https://honto.jp/isbn/978-4-7819-1477-0">honto</a></li>
<li><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4781914772">アマゾン</a></li>
<li><a href="https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784781914770">紀伊國屋 Web Store</a></li>
</ul>
<p>初等教育でITを教える教師や、初等教育を受ける子供の親を想定読者として企画された、<a href="https://www.saiensu.co.jp/search/?book_class_id=2&library_id=300"><strong>コンピュータ&ウェブ・サイエンス・ライブラリ</strong></a>の第6巻、内容は<strong>ウェブ総論</strong>です。</p>
<p>私がこれまでに書いた本の想定読者は<strong>エンジニア</strong>(のタマゴ)でしたが、この本の想定読者は<strong>すべての大人</strong>(と13歳の頭のいい連中)です。
ですから、今この文章を読んでいるあなたはおそらく想定読者です。(<a href="https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784781914770">書店</a>へどうぞ。)</p>
<p>レビュアーの一人であるyomoyomo様がすばらしい紹介を書いてくださったので、そこから引用します。</p>
<blockquote>
<p>例えば、スマホを毎日使っているけど、ウェブがどういうものか実はよく分かっていないことに漠然と不安を感じていて、一度網羅的に基本を押さえたいという人は、いわゆる「文系」の人には多いと思う。そうした人にも遠慮なく勧められる本である。(<a href="https://yamdas.hatenablog.com/entry/20201026/web-no-shikumi">https://yamdas.hatenablog.com/entry/20201026/web-no-shikumi</a>)</p>
</blockquote>
<p>ウェブについて、子供に何か教えなければならない状況を想像してみてください。
何を題材にするでしょうか。
検索?
SNS?
HTML?
オンラインショッピング?</p>
<p>少し詳しい人ならURL・HTTP・HTMLかもしれません。
そういう技術的なことの他に、<strong>検索サービスのビジネスモデル</strong>、<strong>ソーシャルメディアの問題</strong>、<strong>ウェブの信頼性</strong>などの話題も入れたいところです。</p>
<p>「気を付けて使いましょう」とか「ウェブは信用できない」みたいなことを子供に言いたい人は多いと思いますが、では具体的に何に気を付けたらいいのでしょう。
どういうところが信用できないのでしょう。</p>
<p>選んだ題材で、必要なことがすべて網羅できているでしょうか。
大切なことを伝え忘れていないでしょうか。
そういうことに不安を感じる大人のために、この本は書かれました。</p>
<p>選んだ話題は次のとおり、全12章です。(正確には第0章を含む全13章)</p>
<ol>
<li>ハイパーメディア</li>
<li>検索</li>
<li>自分のメディア</li>
<li>ライセンス</li>
<li>シェア</li>
<li>アカウント</li>
<li>クラウド(群衆)</li>
<li>暗号</li>
<li>ウェブアプリケーション</li>
<li>データベース</li>
<li>クラウド(雲)</li>
<li>間接参照</li>
</ol>
<p>ウェブでできることを思い浮かべると、たいていはこれらの組合せになっているはずです。
そういう意味で、網羅的です。</p>
<p>上の12個を、子供たちに持たせたい<strong>道具</strong>(あるいは武器)として紹介しています。
子供たちが将来、自分が直面する問題の解決に、これらの道具を役立ててくれることを願います。</p>
<p>ウェブが生まれたのは1989年、わたしが13歳の頃です。
ダグラス・ホフスタッターをまねて、「わたしが13歳の頃に興味をもっていたような事柄に関心のある、13歳の頭のいい連中」に読んでもらいたい、とは言えません。
13歳の頃の私はウェブには何の興味ももっていませんでしたから。
とはいえ、13歳くらいになれば読めるように、小学校で学ばない漢字には、各章での初出時にルビを振っています。</p>
<p>内容についてもう少し詳しく知りたい方は、<a href="https://github.com/taroyabuki/webbook"><strong>サポートサイト</strong></a>にまとめてある、図・参考文献・URLなどをご覧ください。</p>
<p>内容とは別に、「子供を意識して書く」気分に関して最も影響を受けたのは、稲垣理一郎・Boichi『Dr. STONE』(ジャンプコミックス)です。
誰も気付かないでしょうし、自分でもそのうち忘れそうなのでここに記録しておきます。</p>Yabuki Taro矢吹太朗『Webのしくみ Webをいかすための12の道具』(サイエンス社, 2020)辻真吾『Pythonで学ぶアルゴリズムとデータ構造』2019-11-26T00:00:00+00:002019-11-26T00:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2019/11/26/algorithms-and-data-structure-with-python<p><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4065178037/">辻真吾『Pythonで学ぶアルゴリズムとデータ構造』(講談社, 2019)</a></p>
<p><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4065178037/"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4065178037.09.jpg" alt="書影" /></a></p>
<p>査読し,版元から謝礼をもらいました.査読の効果が,謝礼に見合うものであることを願います.</p>
<p>扱われる題材の大部分は,従来C言語を使って教えられてきた伝統的な「アルゴリズムとデータ構造」です.実用性,特に性能を基準にするなら,扱われている題材の多くは, Pythonには不向きです.言語にあった問題を学び,問題に合わせて言語を選ぶことを学ぶのが理想ではあります.しかし,データサイエンティストの育成が急務だと言われる状況では,新しい革袋に古い酒を入れてみるのもアリでしょう.C言語で挫折した(する)人も,Pythonでなら楽しめるかもしれません.</p>
<p>参考文献リストあり.索引あり.コードは<a href="https://github.com/tsjshg/pyalgdata">https://github.com/tsjshg/pyalgdata</a>で公開されています.</p>Yabuki Taro辻真吾『Pythonで学ぶアルゴリズムとデータ構造』(講談社, 2019)斎藤正彦『線型代数入門』(東京大学出版会,1966)の失われた文献リスト2019-08-14T00:00:00+00:002019-08-14T00:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2019/08/14/the%20lost%20bibliography%20list%20of%20linear%20algebra%20textbook%20by%20saito%20masahiko<p><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4130620010/">斎藤正彦『線型代数入門』(東京大学出版会,1966)</a>のあとがきでは,この本の内容に関わる歴史が,文献とともに紹介されていました。</p>
<p><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4130620010/"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4130620010.09.jpg" alt="書影" /></a></p>
<p>このあとがきについて,渡辺公夫さんは<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4535782741/">数学セミナー編集部編『数学完全ガイダンス』(日本評論社,1999)</a>で次のように言っています。</p>
<blockquote>「あとがき」を地図がわりに随時参照すれば,理論の背景や意味を理解する助けとなるでしょう.(p.198)</blockquote>
<p>しかし,出版から約30年になる41刷(1996)で,このあとがきが7ページから2ページに書き換えられ,歴史の解説と文献リストはなくなってしまいました。(ISBNは変わっていないようです。<a href="https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN00196101">旧</a>・<a href="https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA30077722">新</a>)</p>
<p>私の手元にある43刷(1998)は書き換え後のものですが,参照先のない文献参照が3個残っています。(以下,<span style="text-decoration: underline">下線</span>は引用者による。)</p>
<p>p.234</p>
<blockquote>註2. 実係数の代数方程式の理論としては,実根の数の評価,根の存在範囲の評価,根の近似計算法など重要なことが多くあるが,ここでは省略する.<span style="text-decoration: underline">脚註:あとがき文献[1][2]参照.</span></blockquote>
<p>p.235</p>
<blockquote>たとえば,定理[1.2],[1.4]などに対応することがらは成立たない。しかし,素因数分解の一意性([1.8])は成立つことが証明される.<span style="text-decoration: underline">脚註:あとがき文献[1]参照.</span></blockquote>
<p>p.249</p>
<blockquote>詳しくは抽象代数学の書物<span style="text-decoration: underline">(たとえばあとがき文献[4])</span>を見られたい.</blockquote>
<p>元の文献リストによると,文献[1]から[4]は次のとおりです(リストは全部で26件)。</p>
<ul>
<li>[1] <a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B000JAIJA4/">ア・ゲ・クローシュ「代数学教程」(1,2) 東京図書(1963)</a></li>
<li>[2] <a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4320010000/">高木貞治「代数学講義」改訂新版,共立出版(1965)</a></li>
<li>[3] <a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B000JASPK8/">ファンデルヴェルデン「現代代数学」(1,2,3)商工出版(1959,60)</a></li>
<li>[4] <a href="https://www.amazon.co.jp/dp/400005290X/">弥永昌吉,小平邦彦「現代数学概説I」岩波書店(1961)</a></li>
</ul>
<p>ちょっと古い感じはしますが,『線型代数入門』自体がどういう時代に書かれた本なのかを示すという意味でも,初版のあとがきは残しておいた方がよかったと思います。([3]は東京図書から<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4489023006/">新装版</a>が刊行中)</p>
<p>今の大学1年生が買っているであろう62刷(2018)を見せてもらったら,上記引用中の下線部はすべて削除されていました。古くても無いよりはマシなのに。</p>Yabuki Taro斎藤正彦『線型代数入門』(東京大学出版会,1966)のあとがきでは,この本の内容に関わる歴史が,文献とともに紹介されていました。三体問題を解く難しさ2019-07-10T15:00:00+00:002019-07-10T15:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2019/07/10/3body-simulation-with-nbodysimulation<p>三体問題の例として,ピラゴラス三体問題を試します。三体問題を解くのは難しいということを知っていると,小説<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4152098708/">『三体』</a>をもっと楽しめるかもしれません。</p>
<p><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4152098708/"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4152098708.09.jpg" alt="三体" /></a></p>
<p>ピラゴラス三体問題は,図のように,質量3, 4, 5の質点が,辺の長さが3, 4, 5の三角形の頂点で静止している状態の,その後の変化を調べる問題です。</p>
<p><img src="/images/pythagoras3body.png" alt="初期配置" /></p>
<p>こういう状況をシミュレートするMathematicaの関数<a href="https://reference.wolfram.com/language/ref/NBodySimulation.html">NBodySimulation</a>を使います。</p>
<div class="language-plaintext highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>tmax = 70;
data = NBodySimulation["InverseSquare", {
<|"Mass" -> 3, "Position" -> { 1, 3}, "Velocity" -> {0, 0}|>,
<|"Mass" -> 4, "Position" -> {-2, -1}, "Velocity" -> {0, 0}|>,
<|"Mass" -> 5, "Position" -> { 1, -1}, "Velocity" -> {0, 0}|>},
tmax];
ParametricPlot[Evaluate[data[All, "Position", t]], {t, 0, tmax}]
</code></pre></div></div>
<p><img src="/images/pythagoras3body-result.png" alt="三体の軌跡" /></p>
<p>シミュレートできているように見えますが,(保存されるはずの)全エネルギーの時間変化を見ると,うまく行ってないことがわかります。</p>
<div class="language-plaintext highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>Plot[Evaluate[data["TotalEnergy", t]], {t, 0, tmax}]
</code></pre></div></div>
<p><img src="/images/pythagoras3body-energy.png" alt="全エネルギーの時間変化" /></p>
<p>これは,<code class="language-plaintext highlighter-rouge">data["HamiltonEquations"]</code>として得られるの運動方程式をそのままNDSolveで解いた結果のようです。この問題では少なくとも,全エネルギー,運動量,角運動量が保存されなければならないのですが,NBodySimulationにそういう制約を入れる方法がよくわかりません。</p>
<p>三体問題を解くのは難しいです。</p>
<p>参照:<a href="/2009/06/26/burraus-problem-of-three-bodies/">NDSolveで保存量を指定する方法</a></p>
<p><img src="/images/pythagoras3body.gif" alt="アニメーション" /></p>Yabuki Taro三体問題の例として,ピラゴラス三体問題を試します。三体問題を解くのは難しいということを知っていると,小説『三体』をもっと楽しめるかもしれません。谷合廣紀(著),辻真吾(監修)『Pythonで理解する統計解析の基礎』2018-09-16T15:00:00+00:002018-09-16T15:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2018/09/16/statistical-analysis-with-python<p><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4297100495/inquisitor-22/">谷合廣紀(著),辻真吾(監修)『Pythonで理解する統計解析の基礎』(技術評論社,2018)</a>は,統計学の勉強にPythonを活用することを提案する書籍です。「PYTHON × MATH SERIES」というシリーズの最初の1冊のようです。勉強に使う道具として紙と鉛筆を想定して書かれた教科書を読むのはなかなか大変なので,こうやってコンピュータを活用する教科書がどんどん出てくるといいと思います。</p>
<p>対象を統計に限定するなら(現時点では)PythonよりRが向いていると思いますし,実際,Rで統計を学ぶ教科書はたくさん出ていますが,統計以外も扱うシリーズを展開するならRより汎用的なPythonで,ということになるのでしょう。</p>
<p>Rubyを使ったシリーズになりそうでならなかった<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4274067750/inquisitor-22/">『プログラミングのための確率統計』</a>も良書でしたが,『Pythonで理解する統計解析の基礎』はほとんどすべての事例にPythonでの確認作業が付いているという点で,コンピュータを活用するという方針が徹底しています。</p>
<p>(個人的には,統計限定でもシリーズでも,RやPython,RubyよりMathematicaがいいと思いますが,それはまた別の話。)</p>
<p><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4297100495/inquisitor-22/"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4297100495.09.jpg" alt="表紙" /></a></p>
<p>著者の谷合さんは,将棋の奨励会三段かつ東大大学院情報理工学研究科の院生だそうです。どちらもプロの一歩手前(?)とはいえ,こういう肩書を併せ持つというのはかなりすごいことです。</p>
<p>追記:著者の谷合廣紀さんは,2020年3月に4段昇段を決めました。</p>
<p>閑話休題。本書は,コンピュータ(Python)を活用することで効率よく統計を学ぶことを目指していて,その目標は達成されていると思います。Python自体やプログラミングを学ぶための本ではないので,そういうものを探している人は,他をあたった方がいいでしょう。</p>
<p>「SciPyで一発!」みたいなのが私の好みですが,そういう過激なことはせずに,定義どおりの計算をNumPyで地味にやってみせてから,実はSciPyなら一発という具合で説明されているので(例外あり),正統派(?)からも怒られないのではないかと思います。ただ,NumPyでの地味な計算とSciPyでのお手軽な計算が見分けにくいところがあるので,お手軽なところに気付かずに,「地味で大変だなあ」で終わってしまわないか心配です。(そういう人へ:よく読むと,正確で手軽な方法が後で出てきますよ。)</p>
<p>何というか,本書は将棋の指導対局のようで,著者(上手)はいろいろ読みを入れているにもかかわらず,それをぶちまけて学習者(下手)を溺れさせるようなことはせず,最も気持ちいい形で理解できるように配慮して書かれています。ただ,ちょっと親切すぎるというか,狙いすぎているところがあって,いざ読者が自分で試してみようと思ったときに,著者が見えないところで周到にしていた配慮に気付かずにハマってしまう,ということがあるかもしれません。(指導対局で理解したはずの手筋を実戦で試してうまく行かなかったからといって,指導対局が悪かったということにはなりません。)</p>
<p>例を挙げましょう。(読者が気にしなくてすむように著者が配慮したところをあえて蒸し返します。)</p>
<ol>
<li>xが出る確率密度がf(x)=2x (0 ≦ x ≦ 1)であるような,(整数でなく実数を出力する)ルーレットがあるとします。(p.126)</li>
<li>ルーレットを2回まわして,出た数をA,Bとします。(p.138)</li>
<li>X = A + B,Y = Aとします(A = Y,B = X - A = X - Y)。</li>
<li>このとき,(X, Y)の確率密度f(x, y)は0 ≦ y ≦ 1かつ0 ≦ x - y ≦1のときは 4y(x - y),それ以外のときは0となります。</li>
</ol>
<p>私にはSciPyすら大変なので,Mathematicaで確認します。</p>
<p><img src="/images/2018-09-17-statistical-analysis-with-python-1.png" alt="画面キャプチャ1" /></p>
<p>キャプチャ中のコードは以下の通りです。クラウド(<a href="https://develop.open.wolframcloud.com/app/view/newNotebook?ext=nb">こちら</a>あるいは<a href="https://lab.open.wolframcloud.com/app/view/newNotebook?ext=nb">こちら</a>)でも動きます。</p>
<div class="language-plaintext highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>P = ProbabilityDistribution[2 x, {x, 0, 1}];(*ルーレットの確率分布*)
n = 10^4;
ListPlot[
With[{A = RandomVariate[P, n], B = RandomVariate[P, n]},
Transpose[{A + B, A}]]]
X = A + B;
Y = A;
f := TransformedDistribution[{X, Y}, {Distributed[A, P], Distributed[B, P]}];(*確率分布*)
pdf = PDF[f][{x, y}] // FullSimplify(*密度関数の数式*)
ListPlot[RandomVariate[f, n]]
DensityPlot[pdf, {x, 0, 2}, {y, 0, 1}, PlotPoints -> 50]
</code></pre></div></div>
<p>周辺確率密度関数を求めます。「2変数関数のうち1変数のみで積分するといった関数は実装されていない(p.141)」Pythonでは面倒ですが,Mathematicaでは,式をそのまま書くだけです(ここで扱っている例なら解析的に計算できます。結果は割愛)</p>
<div class="language-plaintext highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>tmp = Integrate[pdf, {y, -Infinity, Infinity}];
Plot[tmp, {x, 0, 2}](*図7.6左*)
tmp = Integrate[pdf, {x, -Infinity, Infinity}];
Plot[tmp, {y, 0, 1}](*図7.6右*)
</code></pre></div></div>
<p>ここまでは問題なく進められるのですが,先の手順4を,次のように誤解されるのが心配です。</p>
<p>(X, Y)の確率密度f(x, y)は0 ≦ A = y ≦ 1かつ0 ≦ B = x - y ≦1のときは <strong>f(A)f(B) = f(y)f(x - y) =</strong> 4y(x - y),それ以外のときは0となります。<strong>(誤解)</strong></p>
<p>こういう理解でX = A + B^2,Y = A (A = Y,B = sqrt(X - Y))の場合を試すと失敗します。f(x, y) = 4y(x - y)だと誤解しているからです。正しくは,∬f(A)f(B)dAdB = ∬f(y)f(sqrt(x - y)))|J|dxdyなのでf(x, y) = f(y)f(sqrt(x - y))|J| = 2yです(J = 1 / 2 / sqrt(x - y)はヤコビアン)。</p>
<p>誤解の原因は,「誤解されても大丈夫なように,|J|が1になる変換(X = A + B,Y = A)を著者が選んだこと」です(素人読み)。</p>
<p>Mathematicaで確認します。</p>
<p><img src="/images/2018-09-17-statistical-analysis-with-python-2.png" alt="画面キャプチャ2" /></p>
<p>キャプチャ中のコードは以下の通りです。</p>
<div class="language-plaintext highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>ListPlot[
With[{A = RandomVariate[P, n], B = RandomVariate[P, n]},
Transpose[{A + B^2, A}]]]
X = A + B^2;
Y = A;
pdf = PDF[f][{x, y}] // FullSimplify
ListPlot[RandomVariate[f, n]]
DensityPlot[pdf, {x, 0, 2}, {y, 0, 1}, PlotPoints -> 50]
</code></pre></div></div>
<p>こういう具合に,指導対局の上手の工夫を探ろうと思うと,より一層楽しめる一冊です。</p>
<p>追記:「因果」って書いているところは全部「相関」に置き換えていいのではないかと思います。</p>
<blockquote class="instagram-media" data-instgrm-captioned="" data-instgrm-permalink="https://www.instagram.com/p/Bn1LNKJhRSo/?utm_source=ig_embed_loading" data-instgrm-version="12" style=" background:#FFF; border:0; border-radius:3px; box-shadow:0 0 1px 0 rgba(0,0,0,0.5),0 1px 10px 0 rgba(0,0,0,0.15); margin: 1px; max-width:540px; min-width:326px; padding:0; width:99.375%; width:-webkit-calc(100% - 2px); width:calc(100% - 2px);"><div style="padding:16px;"> <a href="https://www.instagram.com/p/Bn1LNKJhRSo/?utm_source=ig_embed_loading" style=" background:#FFFFFF; line-height:0; padding:0 0; text-align:center; text-decoration:none; width:100%;" target="_blank"> <div style=" display: flex; flex-direction: row; align-items: center;"> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; flex-grow: 0; height: 40px; margin-right: 14px; width: 40px;"></div> <div style="display: flex; flex-direction: column; flex-grow: 1; justify-content: center;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; margin-bottom: 6px; width: 100px;"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 4px; flex-grow: 0; height: 14px; width: 60px;"></div></div></div><div style="padding: 19% 0;"></div><div style="display:block; height:50px; margin:0 auto 12px; width:50px;"><svg width="50px" height="50px" viewBox="0 0 60 60" version="1.1" xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"><g stroke="none" stroke-width="1" fill="none" fill-rule="evenodd"><g transform="translate(-511.000000, -20.000000)" fill="#000000"><g><path d="M556.869,30.41 C554.814,30.41 553.148,32.076 553.148,34.131 C553.148,36.186 554.814,37.852 556.869,37.852 C558.924,37.852 560.59,36.186 560.59,34.131 C560.59,32.076 558.924,30.41 556.869,30.41 M541,60.657 C535.114,60.657 530.342,55.887 530.342,50 C530.342,44.114 535.114,39.342 541,39.342 C546.887,39.342 551.658,44.114 551.658,50 C551.658,55.887 546.887,60.657 541,60.657 M541,33.886 C532.1,33.886 524.886,41.1 524.886,50 C524.886,58.899 532.1,66.113 541,66.113 C549.9,66.113 557.115,58.899 557.115,50 C557.115,41.1 549.9,33.886 541,33.886 M565.378,62.101 C565.244,65.022 564.756,66.606 564.346,67.663 C563.803,69.06 563.154,70.057 562.106,71.106 C561.058,72.155 560.06,72.803 558.662,73.347 C557.607,73.757 556.021,74.244 553.102,74.378 C549.944,74.521 548.997,74.552 541,74.552 C533.003,74.552 532.056,74.521 528.898,74.378 C525.979,74.244 524.393,73.757 523.338,73.347 C521.94,72.803 520.942,72.155 519.894,71.106 C518.846,70.057 518.197,69.06 517.654,67.663 C517.244,66.606 516.755,65.022 516.623,62.101 C516.479,58.943 516.448,57.996 516.448,50 C516.448,42.003 516.479,41.056 516.623,37.899 C516.755,34.978 517.244,33.391 517.654,32.338 C518.197,30.938 518.846,29.942 519.894,28.894 C520.942,27.846 521.94,27.196 523.338,26.654 C524.393,26.244 525.979,25.756 528.898,25.623 C532.057,25.479 533.004,25.448 541,25.448 C548.997,25.448 549.943,25.479 553.102,25.623 C556.021,25.756 557.607,26.244 558.662,26.654 C560.06,27.196 561.058,27.846 562.106,28.894 C563.154,29.942 563.803,30.938 564.346,32.338 C564.756,33.391 565.244,34.978 565.378,37.899 C565.522,41.056 565.552,42.003 565.552,50 C565.552,57.996 565.522,58.943 565.378,62.101 M570.82,37.631 C570.674,34.438 570.167,32.258 569.425,30.349 C568.659,28.377 567.633,26.702 565.965,25.035 C564.297,23.368 562.623,22.342 560.652,21.575 C558.743,20.834 556.562,20.326 553.369,20.18 C550.169,20.033 549.148,20 541,20 C532.853,20 531.831,20.033 528.631,20.18 C525.438,20.326 523.257,20.834 521.349,21.575 C519.376,22.342 517.703,23.368 516.035,25.035 C514.368,26.702 513.342,28.377 512.574,30.349 C511.834,32.258 511.326,34.438 511.181,37.631 C511.035,40.831 511,41.851 511,50 C511,58.147 511.035,59.17 511.181,62.369 C511.326,65.562 511.834,67.743 512.574,69.651 C513.342,71.625 514.368,73.296 516.035,74.965 C517.703,76.634 519.376,77.658 521.349,78.425 C523.257,79.167 525.438,79.673 528.631,79.82 C531.831,79.965 532.853,80.001 541,80.001 C549.148,80.001 550.169,79.965 553.369,79.82 C556.562,79.673 558.743,79.167 560.652,78.425 C562.623,77.658 564.297,76.634 565.965,74.965 C567.633,73.296 568.659,71.625 569.425,69.651 C570.167,67.743 570.674,65.562 570.82,62.369 C570.966,59.17 571,58.147 571,50 C571,41.851 570.966,40.831 570.82,37.631"></path></g></g></g></svg></div><div style="padding-top: 8px;"> <div style=" color:#3897f0; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:550; line-height:18px;"> View this post on Instagram</div></div><div style="padding: 12.5% 0;"></div> <div style="display: flex; flex-direction: row; margin-bottom: 14px; align-items: center;"><div> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; height: 12.5px; width: 12.5px; transform: translateX(0px) translateY(7px);"></div> <div style="background-color: #F4F4F4; height: 12.5px; transform: rotate(-45deg) translateX(3px) translateY(1px); width: 12.5px; flex-grow: 0; margin-right: 14px; margin-left: 2px;"></div> <div style="background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; height: 12.5px; width: 12.5px; transform: translateX(9px) translateY(-18px);"></div></div><div style="margin-left: 8px;"> <div style=" background-color: #F4F4F4; border-radius: 50%; flex-grow: 0; height: 20px; width: 20px;"></div> <div style=" width: 0; height: 0; border-top: 2px solid transparent; border-left: 6px solid #f4f4f4; border-bottom: 2px solid transparent; transform: translateX(16px) translateY(-4px) rotate(30deg)"></div></div><div style="margin-left: auto;"> <div style=" width: 0px; border-top: 8px solid #F4F4F4; border-right: 8px solid transparent; transform: translateY(16px);"></div> <div style=" background-color: #F4F4F4; flex-grow: 0; height: 12px; width: 16px; transform: translateY(-4px);"></div> <div style=" width: 0; height: 0; border-top: 8px solid #F4F4F4; border-left: 8px solid transparent; transform: translateY(-4px) translateX(8px);"></div></div></div></a> <p style=" margin:8px 0 0 0; padding:0 4px;"> <a href="https://www.instagram.com/p/Bn1LNKJhRSo/?utm_source=ig_embed_loading" style=" color:#000; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:normal; line-height:17px; text-decoration:none; word-wrap:break-word;" target="_blank">御恵贈御礼</a></p> <p style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; line-height:17px; margin-bottom:0; margin-top:8px; overflow:hidden; padding:8px 0 7px; text-align:center; text-overflow:ellipsis; white-space:nowrap;"><a href="https://www.instagram.com/taroyabuki/?utm_source=ig_embed_loading" style=" color:#c9c8cd; font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; font-style:normal; font-weight:normal; line-height:17px;" target="_blank"> Taro Yabuki</a>さん(@taroyabuki)がシェアした投稿 - <time style=" font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; line-height:17px;" datetime="2018-09-17T14:38:17+00:00">2018年 9月月17日午前7時38分PDT</time></p></div></blockquote>
<script async="" defer="" src="//www.instagram.com/embed.js"></script>Yabuki Taro谷合廣紀(著),辻真吾(監修)『Pythonで理解する統計解析の基礎』(技術評論社,2018)は,統計学の勉強にPythonを活用することを提案する書籍です。「PYTHON × MATH SERIES」というシリーズの最初の1冊のようです。勉強に使う道具として紙と鉛筆を想定して書かれた教科書を読むのはなかなか大変なので,こうやってコンピュータを活用する教科書がどんどん出てくるといいと思います。WordPressからJekyllへの移行手順2018-08-18T15:00:00+00:002018-08-18T15:00:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2018/08/18/switching-to-jekyll-from-wordpress<p>ココログ→Movable Type(自前サーバ)→WordPress(自前サーバ)と移ってきたブログを,静的なものにしてGitHub Pagesに置くことにしました。</p>
<p>参考:<a href="https://jekyllrb.com/">https://jekyllrb.com/</a>(<a href="https://jekyllrb-ja.github.io/">日本語訳</a>)</p>
<h2 id="移行の理由">移行の理由</h2>
<p>ブログを静的にする理由は以下の通りです。</p>
<ul>
<li>WordPressの更新が面倒</li>
<li>WordPressのプラグインの更新が面倒</li>
<li>WordPressのためのソフトウェア(ApacheやMySQL,PHP)の更新が面倒</li>
<li>OSの更新が面倒</li>
<li>HTTPS対応が面倒</li>
<li>ブログサービスを使いたくない
<ul>
<li>サービスが終了したときに別のサービスに引っ越さなければならない</li>
<li>サービスに記事を非公開にする権利を渡すことになる</li>
</ul>
</li>
</ul>
<p>静的にしておけば,ウェブサーバさえあれば公開できます。最悪,ZIPで固めて配布したとして,受け取った側もダブルクリックで読めるので簡単です。</p>
<h2 id="具体的な手順">具体的な手順</h2>
<p>Dockerが動くことを前提に進めます。</p>
<p>Jekyllの<a href="https://import.jekyllrb.com/docs/wordpressdotcom/">https://import.jekyllrb.com/docs/wordpressdotcom/</a>で紹介されている<a href="https://github.com/thomasf/exitwp">Exitwp</a>を使って移行します。</p>
<p>作業用のフォルダを作ります。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code><span class="nb">mkdir</span> <span class="nv">$HOME</span>/jekyll
</code></pre></div></div>
<p>Docker run!</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>docker run <span class="nt">--rm</span> <span class="nt">-it</span> <span class="nt">-v</span> <span class="nv">$HOME</span>/jekyll:/jekyll ubuntu bash
</code></pre></div></div>
<p>コンテナのシェルで,以下を実行します。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>apt update
apt <span class="nb">install</span> <span class="nt">-y</span> git python-pip
pip <span class="nb">install </span>PyYAML bs4
<span class="nb">cd</span> /jekyll
git clone https://github.com/thomasf/exitwp.git
</code></pre></div></div>
<p>(ホスト側で)$HOME/jekyll/exitwp/wordpress-xmlに,WordPressからエクスポートしたファイル(例:wordpress.2018-08-19.xml)を置きます。</p>
<p>コンテナのシェルで,変換を実行します。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code><span class="nb">cd</span> /jekyll/exitwp
python exitwp.py
</code></pre></div></div>
<p>これで,ブログの1記事が1ファイルになって,ホストの$HOME/jekyll/exitwp/build/jekyll/{ブログのBase URL}/_posts に格納されます。この_postだけホストの$HOME/jekyllに移動して,あとは消しておきましょう。コンテナのシェルで,以下を実行します。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code><span class="nb">mv </span>build/jekyll/<span class="o">{</span>ブログのBase URL<span class="o">}</span>/_posts /jekyll
<span class="nb">rm</span> <span class="nt">-r</span> exitwp
<span class="nb">exit</span>
</code></pre></div></div>
<h2 id="jekyllの準備1回だけ">Jekyllの準備(1回だけ)</h2>
<p>WindowsでDocker Toolboxを使う場合は,4000番ポートを使えるようにしておきます。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>VBoxManage controlvm <span class="s2">"default"</span> natpf1 <span class="s2">"jekyll,tcp,127.0.0.1,4000,,4000"</span>
</code></pre></div></div>
<p>JekyllはDockerのイメージjekyll/jekyllを使って実行します。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>docker run <span class="nt">-it</span> <span class="nt">-p</span> 4000:4000 <span class="nt">-v</span> <span class="nv">$HOME</span>/jekyll:/srv/jekyll <span class="nt">--name</span> jekyll jekyll/jekyll bash
</code></pre></div></div>
<p>コンテナのシェルで,以下を実行します。Jekyllのテーマはとりあえずminimaということにします(<a href="https://pages.github.com/themes/">GitHubでサポートされるテーマ</a>)。設定ファイル(_config.yml)は https://github.com/jekyll/minima を参考に書くといいでしょう。GitHubでの公開用には,https://jekyllrb.com/docs/github-pages/ も参考になります。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code><span class="nb">touch </span>README.md
<span class="nb">cat</span> <span class="o"><<</span> <span class="no">EOS</span><span class="sh"> > _config.yml
title: ブログのタイトル
author: 著者
description: 概要
theme: minima
</span><span class="no">EOS
</span><span class="nb">cat</span> <span class="o"><<</span> <span class="no">EOS</span><span class="sh"> > Gemfile
source "https://rubygems.org"
gem "github-pages", group: :jekyll_plugins
</span><span class="no">EOS
</span>bundle update
</code></pre></div></div>
<p>このまま<code class="language-plaintext highlighter-rouge">docker exec -it jekyll jekyll serve</code>を実行してもいいのですが,一度終わらせます。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code><span class="nb">exit</span>
</code></pre></div></div>
<h2 id="jekyllの実行">Jekyllの実行</h2>
<p>コンテナを起動します。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>docker start jekyll
</code></pre></div></div>
<p>ブログを生成します(Ctrl-Cで停止)。</p>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>docker <span class="nb">exec</span> <span class="nt">-it</span> jekyll jekyll serve
</code></pre></div></div>
<p>http://localhost:4000 にアクセスして,変換後のブログを閲覧します。</p>
<p>記事中に{{x, y}のような文字列があるとエラーになるので,何らかの方法で直す必要があります。(解決策の例:p要素の中で<code>&#x7b;&#x7b;x, y&#x7d;</code>のように文字参照を使う。)</p>
<p>Ctrl-Cで止めてから,上のコマンドを実行すると,ブログを再生成します。</p>
<h2 id="掃除">掃除</h2>
<div class="language-bash highlighter-rouge"><div class="highlight"><pre class="highlight"><code>docker stop jekyll
docker <span class="nb">rm </span>jekyll
</code></pre></div></div>
<h2 id="githubでの公開">GitHubでの公開</h2>
<p>$HOME/jekyll全体をプッシュすればいいのですが,詳細は割愛します。</p>Yabuki Taroココログ→Movable Type(自前サーバ)→WordPress(自前サーバ)と移ってきたブログを,静的なものにしてGitHub Pagesに置くことにしました。ホフスタッター『わたしは不思議の環』2018-08-10T16:38:00+00:002018-08-10T16:38:00+00:00https://taroyabuki.github.io/2018/08/10/i-am-a-strange-loop<p><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4826900252/inquisitor-22/">『ゲーデル・エッシャー・バッハ』(GEB)</a>で書いたはずの「生命のない物質から生命のある存在がどのように生まれるか」という問いへの再挑戦。</p>
<p><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/482690200X/inquisitor-22/"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/482690200X.09.jpg" alt="表紙" /></a><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/482690200X/inquisitor-22/">ホフスタッター『わたしは不思議の環』</a></p>
<p>白揚社編集部の後記によると,GEBは「二段組,700ページを超えるボリューム,4800円という高価格の本」だったとのことだが(現在は5800円+税),本書は「一段組,600ページ,5400円」だから,ページ単価はこちらのほうがかなり高い。(ちなみに,<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/B06XCD1C29/inquisitor-22/">原著Kindle版</a>は825円)</p>
<p>原書が出版された2007年頃ならともかく,2018年にもなってこの翻訳が出るということは,自分がGEBを楽しんだ最後の世代だという私の感覚は間違っていたか。</p>
<p><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4791770757/inquisitor-22/"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4791770757.09.jpg" alt="表紙" /></a><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4791770757/inquisitor-22/">デネット『心の進化を解明する』</a></p>
<p>とはいえ,友人として何度も登場するデネットの『心の進化を解明する』が,原書の出版(2017)から1年で翻訳されているわけで,「GEBを読めばいい」ということはあったのかもしれない。</p>
<p><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4826901259/inquisitor-22/"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4826901259.09.jpg" alt="表紙" /></a><a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4826901259/inquisitor-22/">ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版』</a></p>
<p>自伝的要素があまりないGEB(20周年記念版の序文は例外)と比べて,自伝的要素が多い。それで,1冊だけ残すならやはりGEBなのだが,GEBの副読本的な楽しみはある。目次が浅いのと,索引がかなり端折られているらしいのが残念(例:読み終わってから,そういえば朝永振一郎ってどこで出てきたっけ?と思っても,なかなか見つからない。)。</p>
<p>細かい話:同音異義語の例の翻訳としては橋と箸(p.17)は適切? Godelの中にGodがあることを訳すのは難しそう(p.293)。ツウィン世ン界(p.323),ペアソナル(p.327),干ロ草フィー(p.495),英語の痕跡をなくすのは難しそう。「高価で高速の」→「高価で高速な」?(p.367)</p>Yabuki Taro『ゲーデル・エッシャー・バッハ』(GEB)で書いたはずの「生命のない物質から生命のある存在がどのように生まれるか」という問いへの再挑戦。「母数」の誤用について2018-01-15T13:56:25+00:002018-01-15T13:56:25+00:00https://taroyabuki.github.io/2018/01/15/misuse-of-the-word-parameter<p>「母数」(parameter)は統計の術語で,「確率分布を特定するための定数」のことです。たとえば,確率分布の一つである正規分布は,平均と分散を決めることで特定されます。ですから,平均と分散は正規分布の母数です。</p>
<p>「JISZ8101-1 統計-用語及び記号-第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語」では次のように定義されています。</p>
<blockquote>
<p><strong>2.8</strong>
<strong>(確率)分布族 (かくりつ)ぶんぷぞく</strong>(family of distributions) <strong>確率分布(2.11)</strong> の集合。
注記1 確率分布を区別するとき,確率分布の<strong>パラメータ(2.9)</strong> がインデックスとしてよく用いられる。
注記2 確率分布の<strong>平均(2.35)</strong> 及び/又は<strong>分散(2.36)</strong> が,しばしば分布族のインデックスとして用いられ,又は分布族を表すのに三つ以上のパラメータが必要な場合はその一部として用いられる。平均及び分散は,分布族の明示的なパラメータであるとは限らず,パラメータの関数の場合もある。</p>
<p><strong>2.9</strong>
<strong>パラメータ,母数 ぱらめーた,ぼすう</strong>(parameter)
<strong>分布族(2.8)</strong> のインデックス。
注記1 パラメータは,一次元のこともあり,多次元のこともある。
注記2 分布族の平均に直接対応付けられるパラメータを位置母数(ロケーションパラメータ)と呼ぶことがある。<strong>標準偏差(2.37)</strong>,又はそれに比例するパラメータを尺度母数(スケールパラメータ)と呼ぶことがある。位置母数でも尺度母数でもないパラメータを,形状母数(シェイプパラメータ)と呼ぶことがある。</p>
</blockquote>
<p>この「母数」という語には,次のような誤用があります。</p>
<ol>
<li>「母数」を「分母の数」の意味で使う。</li>
<li>「母数」を「サンプルサイズ」の意味で使う。</li>
</ol>
<p>これらの誤用については,<a href="https://sites.google.com/site/fishermultiplecomparison/bosuu-parameter">「統計学の基本用語.母数は分母でも全数でもない!」</a>など,さまざまなところで指摘されているのですが,無くなる気配がありません。</p>
<p>それどころか,間違った意味を掲載した辞書さえあるので,この語の使用自体を諦めた方がいいかもしれません。</p>
<p>第1の誤用は,『精選版 日本国語大辞典』に掲載されていました。(4については精選版でない『日本国語大辞典』も完全に同じ。)</p>
<ol>
<li>歩合算における元金の称。〔慶応再版英和対訳辞書(1867)〕</li>
<li>助変数(媒介変数)のこと。</li>
<li>統計学で,母集団の特性を示す定数。母平均と母分散の総称。〔統計学の話(1949)〕</li>
<li><strong>分母のこと。</strong></li>
</ol>
<p>母平均と母分散以外にも母数になるものはあるので3も怪しいのですが,4はダメです。(統計学の用語ではなく一般の用語として載せているというのであれば仕方ありません。)</p>
<p>第2の誤用は,手元の辞書では唯一,<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4000801317/">『広辞苑 第七版』(岩波書店, 紙版, 2018)</a>に掲載されていました。</p>
<ol>
<li>歩合算で元金の称。</li>
<li>助変数に同じ。特に,確率変数の助変数についていい,母集団の特性を表す母平均や母分散などのこと。</li>
<li><strong>統計学で,母集団の数。</strong></li>
</ol>
<p>曖昧な記述ですが,「母集団のサイズ」を思わせる3はダメです。(「統計学で,」を削除して,一般の用語として載せるというのであれば仕方ありません。「統計学の用語を使って説明すると」ということであれば,「母集団の数」ではなく「標本の大きさ」または「標本サイズ」,「サンプルサイズ」とすべきです。「標本数」や「サンプル数」は不可)</p>
<p>ちなみに,広辞苑第3, 4, 5, 6版の記述は次のとおり。</p>
<ol>
<li>歩合算で元金の称。</li>
<li>助変数に同じ。</li>
<li>推計学で,母集団の特性を表す定数。</li>
</ol>
<p>旧版の2と3が合わさり,誤りが新たに追加されたわけです。どうしてこうなった?</p>
<p>辞書はかがみ(ことばを写す鏡・ことばを正す鑑)ということが言われますが,私は断然「鑑派」です。少なくとも術語についてはみんなそうであってほしいものです。「足し算」の意味で「積分」と言うようになったら困るでしょう。</p>
<p>追記:<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4385139067/">『大辞林 第四版』(三省堂, 紙版, 2019)</a>は大丈夫です。</p>
<ol>
<li>統計学で,母集団の特性を表す値。</li>
<li>歩合算で,元金をいう語。</li>
<li>媒介変数のこと。助変数。パラメーター。</li>
</ol>
<p><a href="https://kotobank.jp/word/%E6%AF%8D%E6%95%B0-630101">コトバンク</a>にある,デジタル大辞泉・百科事典マイペディア・世界大百科事典 第2版・大辞林 第三版は大丈夫です。</p>
<p>追記:数学の術語としての「母数(modulus)」には,次のような意味があります。</p>
<blockquote>
<p>第1種楕円積分<br />
<img src="https://latex.codecogs.com/gif.latex?%5Cint_0%5Ex%5Cfrac%7Bdz%7D%7B%5Csqrt%7B%281-z%5E2%29%281-k%5E2z%5E2%29%7D%7D" alt="数式" /><br />
において,パラメータ<it>k</it>をこの楕円積分の母数という。(<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4000802097/">『数学入門辞典』</a>)</p>
</blockquote>Yabuki Taro「母数」(parameter)は統計の術語で,「確率分布を特定するための定数」のことです。たとえば,確率分布の一つである正規分布は,平均と分散を決めることで特定されます。ですから,平均と分散は正規分布の母数です。