Helvetica forever

Helvetica forever ヘルベチカ・フォーエバー -タイプフェイスをこえて-

もちろんヘルベチカで日本語は組めないのですが・・・

Mochiron Helvetica de nihongo ha kumeru no desu ga…

3037781203翻訳が出ました。日本語はこぶりなゴシックでしょうか(ヘルベチカの個性の無さと比べると、個性的な書体だと思います。とくに「ふ」が)。Helvaticaを楽しみたいのなら原書のほうがいいかもしれませんが、ドイツ語は私苦手で・・・

ヘルベチカ50歳を祝いたいという向きは、ギンザ・グラフィック・ギャラリーの<Helvetica forever: Story of a Typeface ヘルベチカ展>に行くといいかもしれません(50歳だったのは2007年のことですが。参考「小林章のドイツ日記」)。2/28まで。

Helvetica forever: Story of a Typeface ヘルベチカ展

ヘルベチカの過去・現在・未来展

フォントのグラデーション

LaTeXのパッケージ、Multiple font formats (mff)を使うと、フォントComputer Modernのパラメータをいじって別のフォントを作ることができる。パラメータを少しずつ変えれば、フォントのグラデーションに。

フォントのグラデーション

ソースコードは次の通り。

\documentstyle[mff]{article}
\pagestyle{empty}
\clearMFF\setMFF[0.8]{cmr}\setMFF[0.2]{sf}\MFFgener{\fontoo}{oo}{10pt}
\clearMFF\setMFF[0.6]{cmr}\setMFF[0.4]{sf}\MFFgener{\fontoi}{oi}{10pt}
\clearMFF\setMFF[0.4]{cmr}\setMFF[0.6]{sf}\MFFgener{\fontio}{io}{10pt}
\clearMFF\setMFF[0.2]{cmr}\setMFF[0.8]{sf}\MFFgener{\fontii}{ii}{10pt}

\begin{document}
A{\fontoo A}{\fontoi A}{\fontio A}{\fontii A}{\sffamily A}
\end{document}

たとえば\clearMFF\setMFF[0.4]{cmr}\setMFF[0.6]{sf}\MFFgener{\fontio}{io}{10pt}というのは、Computer Modern Roman (cmr)とComputer Modern Sans Serif (sf)を6:4で混ぜたフォント(io)を作り、\fontioで使えるようにするということ(ioというのは私が勝手につけた名前)。

このソースコード(f.tex)は、次のような操作でPDFになる(Windows上のTeXLiveで動作を確認した。mff.zipを展開したディレクトリで作業するのが簡単)。

platex f
for %f in (*.mf) do (mktextfm %f)
platex f
dvipdfmx -r 2400 f

Bashではこんな感じか。

platex f
for file in *.mf ; do mktextfm $file; done
platex f
dvipdfmx -r 2400 f

メタマジック・ゲーム―科学と芸術のジグソーパズルDigital Typography (Csli Lecture Notes, 78)このようにパラメータを少しずつ変えて生成したフォントを使った作品の最高傑作が、『メタマジック・ゲーム』のp.231や、『Digital Typography』のp.299に掲載されている。残念なことに、ウェブでは見つからなかったから、真似して作ってみた(文章は『茶の本』から)。

センチメートルの友情

「g」はセリフとサンセリフでぜんぜん違うと思うかもしれないが、サンセリフでも丸2つになっている書体はある。たとえばGill Sans(このフォントはMac OS XやMicrosoft Officeに含まれている)。

Computer Modern Typefaces (Computers and Typesetting, Vol E)パラメータで記述されるフォントについてのすばらしい考察が先述の『メタマジック・ゲーム』に、フォントComputer Modernがどのようなパラメータで記述されているかが『Computer Modern Typefaces (Computers and Typesetting, Vol E)』にすべて載っている。

『30センチメートルの友情』がもう一つのネタもと。

追記:フォント作成に詳しくなくても大丈夫、自分好みのフォントが簡単に作成できてしまうオンラインサービス -metaflop

ヘルベチカの過去・現在・未来展

公式サイト

10/21–10/28、ラフォーレミュージアム原宿で

ヘルベチカ ~世界を魅了する書ヘルベチカ—世界を魅了する書を上演していた。

MacにはHelveticaとその改良版であるHelvetica Neueが標準搭載されているが、Windowsに搭載されているのは似て非なるArial。手軽に買えるTrueType フォントパーフェクトコレクションにも、HelveticaをコピーしたSwiss 721が収録されている。ArialよりはHelvetica (Neue)に近いか。

Helvetica Regular

上から、Helvetica Regular, Helvetica Neue Regular, Swiss 721 Roman, Arial Regular.

Helvetica Oblique

上から、Helvetica Oblique, Helvetica Neue Italic, Swiss 721 Italic, Arial Italic.

Helvetica Bold

上から、Helvetica Bold, Helvetica Neue Bold, Swiss 721 Bold, Arial Bold.

Helveticaはウェイト展開が寂しかったのに対して、Helvetica Neueには8種類のウェイトがある。Macにはそのうちの4つが搭載されている。

Helvetica Neue

Swiss 721なら、手軽に7種類のウェイトを利用できる。

Swiss 721

Helvetica forever

オイラーの名を受け継ぐ書体 AMS Euler

コンピュータの数学アメリカ数学会がHermann Zapf(OptimaやPalatinoの作者)に委託して作成した書体。グレアム, クヌース, パタシュニク『コンピュータの数学』原書は改訂されている)によれば、「字の上手な数学者が手書きした場合の数学の薫りをもたせる」というのが設計の基本方針だったとのこと。書体名はもちろん数学者オイラーからとった。

Digital Typography (Csli Lecture Notes, 78)この書体の制作過程は、Knuth『Digital Typography』収録の“AMS Euler—A New Typeface for Mathematics”で紹介されているが、これはKnuthとZapfという異分野の偉人の共同作業の貴重な記録だろう。

AMS Eulerを使いたいならLaTeXを使うのが一番だが(\usepackage{amsmath,amssymb,euler})、手元にLaTeX環境が無かったり、LaTeX以外で使いたい場合には、ここからbakoma.lzhをダウンロードして、eurm10.ttf (10pt) などを使ってみるといい。

こんな感じ(AMS Eulerの他にもComputer Modern等を使っている)。0の頂上がわずかに尖っているのが特徴。

上の数式群は以下の文献から引用した。

この書体、実は私の博士論文の私家版に使ったのだが、それを持っている人はほとんどいないだろう。奥村晴彦『LaTeX2ε美文書作成入門』にも、

Euler Romanは半ば実験的な性格のもので、これを本文に使った有名な教科書Concrete MathematicsをKnuthたちが出した以外にはあまり使われていないようです。(p.97)

とあるように、AMS Eulerはあまり普及してはいないだろうと思っていたら、この書体を使った書籍が相次いで(といっても著者は一人だが)出版された。結城浩さんの『数学ガール』『数学ガール フェルマーの最終定理』だ。

数学の本と言えば数学者か塾の先生、サイエンスライターが書いたものしか読んだことがなかったが、そのどれにもあてはまらない人が書いているという意味でも興味深い(「プロフェッショナルとは何か」という議論があるようだが、「数学のプロフェッショナル」に関しては合意ができているのではないだろうか。フェルマーを「アマチュア数学者」と呼んだからといって目くじらを立てる人はあまりいないと思う)。こういう試みはとてもいい。フェルマーの最終定理のほうは、「群が出てくる本で『原子・素粒子・クォーク』という用語を安易に使っていいのかなあ」と思ったりもするのだが。

続巻も、AMS Eulerですね。

活字・書体・タイポグラフィの本

トランスアートのBOOK GUIDEが閲覧できなくなっている。困っている人も多いだろうから、Internet Archiveで代用できるようにしてみた。文字化けしたら、手動でShift_JISに。