『安藤忠雄 仕事をつくる』(日本経済新聞出版社, 2012)(参考文献リスト無し・索引無し)は日本経済新聞の「私の履歴書」に掲載された、短いエッセイをまとめた本です。仕事柄、いろんな分野の有名人と交流がある著者ですが、「実は有名人だと後で知った」という話がたくさんあって面白いです。たとえば、U2のボノについてはこんな感じでした。
2006年冬、ロックグループU2のボノが「光の教会」を見たいと知人と共にアイルランドからやってきた。私はその時、正直ボノという名前は聞いたことがあったくらいで、彼のことをよく知らなかった。
光の教会に足を踏み入れ、静に腰掛けたボノは「祈ってもいいか?」そして「歌ってもいいか?」とつつましく尋ねた。祈り終えると説教台の方に歩み、アメージング・グレイスを歌いだした。光の教会の空間はボノの歌声に包み込まれた。居合わせた人たちの目に涙が浮かんだ。私も感動した。(p.100)
『U2ファイル』に寄せた評論「ロックスターがめったに語らないこと—U2と愛と神の恵み」に載せたかった話です。(そういえば、この評論がもとで某新聞に「バンドとキリスト教信仰を研究している」と書かれたりしましたが、そういうことはありません。)
ボノのアメージング・グレイスはYouTubeを探すと見つかります。光の教会ではありませんが。