新井紀子『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞出版社, 2010)(参考文献リスト無し・索引無し)
コンピュータに仕事を奪われないためには、コンピュータには難しいが人間ならできる、クラウドソーシングによって労働の単価が下がらないスキルを身につけておく必要がある。本書では、現時点でのその境界が、わかりやすい例を使って説明されている。計算はコンピュータに任せて「筋」がわかればよい「第二言語として数学が話せる能力」が推奨されているが(p.193)、それを身につければよい理由はもう少し説明がほしかった。プログラミング能力のほうがいいような気がするが、いずれにしても、それを身につけられない多くの人は、働かないと生きられない社会ではつらい状況に追い込まれるだろう。
細かいこと(第1版第1刷)
- p.103 フェルマーの最終定理の式?
- p.121 クラウドソーシングが可能でも、労働力は限られているため、必ずしも労働の単価が世界の最低賃金まで下がるわけではないと思う。
- p.194 数独とクロスワードパズルの話では,数独というゲームの難しさを知っているかどうか(見積もれるかどうか)が大事ではある。囲碁とクロスワードパズルでも似たような話にはなるが,逆の結論になるかもしれない。