括弧のフォントは内容ではなく周囲のテキストに合わせます

The Chicago Manual of Style (ハードカバー)カーニングがおかしいのを放置するのはおかしいという記事中で「(John 3;16)」という例を使いました。カーニングがおかしいせいで、「(」と「J」、「6」と「)」が重なってしまうことがあるという話です。

そもそも、括弧がローマン体でその中身がイタリック体なのがおかしいのであって、「(John 3:16)」のようにすれば問題ないのでは、という疑問がありました。

まず、『The Chicago Manual of Style』の6.6節にあるように、括弧のフォントは内容ではなく周囲のテキストに合わせるのが原則です。つまり、括弧の周囲がローマン体なら括弧もローマン体、括弧の周囲がイタリック体なら括弧もイタリック体にします。内容のフォントは関係ありません。(この記事を書いている時点での英語版Wikipediaの記述は間違っています。)

ノンデザイナーズ・タイプブック (単行本)『The Chicago Manual of Style』は最も信頼される手引きなので、これに従えばいいと思いますが、この原則は「絶対」というわけではなさそうです。たとえば、『ノンデザイナーズ・タイプブック』では、「括弧の中がすべて同じフォントなら括弧自体もそれに合わせる」というルールが紹介されています。

アメリカ英語に限って言えば、Chicagoが一番の権威だとは思いますが、「括弧のフォントを内容に合わせたい」という考え方も、まあ、ありなのかもしれません。

では、括弧をイタリック体にすればカーニングの問題は解決するかと言うと、そういうわけではありません。Adobe InDesignならカーニングを「オプティカル」にしておけば大丈夫ですが、Wordは個別の調整が必要です(このGaramondの例では、左括弧の後の文字間隔を2ptにしなければなりません)。

Wordで欧文を使うなら、Palatinoが一番問題が少ないということはここでも言えそうです。内容にあった書体を使うのが原則ですが、この際、Palatinoにふさわしいことを書くようにするのがいいのかもしれません。