システム全体をエミュレートする必要がない場合は、ユーザーモードエミュレーションのほうがいいでしょう。
Raspberry Piのためのディストリビューション、Raspbianは、QEMU上でも動作します。この記事では、Windows上のQEMU上でRaspbianを動かす方法を紹介します。
いろいろ面倒なので、最終的に動かすのはWindows上のQEMUだとしても、ディスクイメージを作り直す作業(下の手順2)はUbuntuでやったほうがよさそうです。
(1)
Windows上で試すにはちょっと工夫が必要なのですが、Raspberry Pi emulation for Windowsなら、展開してrun.bat
をダブルクリックするだけで動くようになっているので、今回はこれを使います。(参考:Raspberry Pi:QEmuで仮想環境)
(2)
これはとばしてもかまいませんが、その場合は(3)のraspbian.img
を2012-07-15-wheezy-raspbian.img
のままにしてください。
ディスクイメージ2012-07-15-wheezy-raspbian.imgの空き容量が不十分なので、VirtualBoxで作った4GBの仮想ディスクに、Ubuntuで「sudo dd if=2012-07-15-wheezy-raspbian.img of=/dev/sdb
」として書き込み、gpartedでパーティションを拡大、「sudo dd if=/dev/sdb of=raspbian.img
」として作り直します(空き領域に新パーティションを作ってそれを削除してから拡張するとうまくいくとか)。もっとよい方法があるのでしょうが、「qemu-img.exe resize 2012-07-15-wheezy-raspbian.img +2G
」とraspi-config
のexpand=rootfsではうまくいきませんでした。
(3)
qemu/run.bat
の内容を以下のように修正します。「-m 256
」はメモリを256MBにするオプション(これより大きくしても無効)、「-redir tcp:10022::22
」と「-redir tcp:15901::5901
」はSSHサーバとVNCサーバにアクセスしやすくするためのオプションです(参考:Raspberry Pi:QEMUとの通信)。
qemu-system-arm.exe -M versatilepb -cpu arm1176 -hda raspbian.img -kernel kernel-qemu -m 256 -append "root=/dev/sda2" -redir tcp:10022::22 -redir tcp:15901::5901
(4)
run.bat
をダブルクリックして、Raspbianを起動させます。Raspbianの設定ツールであるraspi-configが起動するので、「ssh」でSSHサーバを有効にし、「change_pass」でパスワードを簡単なものに変えて、タブ→Finishで終わらせます。(初期設定ではユーザpi、パスワードはraspberry)。
(5)
メモリが少ないのですが(256MB)、増やす方法がわからないので、とりあえず、スワップ領域を512MBに増やします(参考:Raspberry Pi のswap領域変更)。
(6)
パッケージリストを更新し、VNCサーバをインストールします。(startx
よりこっちが好きです。)
sudo apt-get update && sudo apt-get install tightvncserver
(7)
「vncserver -geometry 1200x800
」としてVNCサーバを起動させます(解像度の指定はオプショナルです)。
(8)
WindowsにTightVNC(クライアントのみ)をインストール・起動し、「localhost:15901」にアクセスして、GUIを利用できるようにします。
(9)
GUIがいらないときは、localhost:10022にSSHでログインするといいでしょう。
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