know

4150311218野﨑まど『know』(早川書房, 2013)

ネットで調べればわかることを「知っている」と表現する未来で、「自由に情報が取得でき、自由に情報が発信できるところにいなさい(p.52)」と言った教授の弟子である主人公が、イザナギとイザナミ、オルフェウスの神話を思わせる冥府への「知」の旅に出る。情報にも物理的実体はあり、その質量が人を惹きつける(これはメタファー)。だとすれば、星の重力崩壊(ブラックホール)に相当することが、「情報」でも起こるはず。それを冥府へと結びつけた発想が秀逸。