年度末、卒業の季節に(カラキョウ読み比べ)

4334751334皆さんは教育上のことをいろいろと人から教え込まれましょうが、しかし幼年時代からつちかわれた善良な神聖な思い出こそは、おそらく最上の教育です。もし一生のうちにそうした記憶を数多くたくわえた人があったら、その人は死ぬまで安全です。またもしただ一つでも善良な記憶を胸の中に持っておれば、それだけでもいつか僕たちは救われるのです。(中山省三郎訳『カラマゾフの兄弟 完全版』 No.24801)


4102010122君たちは教育に関していろいろ話してもらうでしょうが、少年時代から大切に保たれた、何かそういう美しい神聖な思い出こそ、おそらく、最良の教育にほかならないのです。そういう思い出をたくさん集めて人生を作りあげるなら、その人はその後一生、救われるでしょう。そして、たった一つしかすばらしい思い出が心に残らなかったとしても、それがいつの日か僕たちの救いに役立ちうるのです。(原卓也訳『カラマーゾフの兄弟〈下〉』(新潮文庫) p.493)


4334751334きみたちは、きみたちの教育についていろんな話を聞かされているはずですけど、子どものときから大事にしてきたすばらしい神聖な思い出、もしかするとそれこそが、いちばんよい教育なのかもしれません。

自分たちが生きていくなかで、そうした思い出をたくさんあつめれば、人は一生、救われるのです。もしも、自分たちの心に、たとえひとつでもよい思い出が残っていれば、いつかはそれがぼくらを救ってくれるのです。(亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟 5』(光文社古典新訳文庫) p.58)


4003261526諸君は教育ということについていろいろ喧しい話を聞くでしょう。けれど子供の時から保存されている、こうした美しい神聖な思い出こそ、何よりも一等よい教育なのであります。過去においてそういう追憶をたくさんあつめた者は、一生すくわれるのです。もしそういうものが一つでも私たちの心に残っておれば、その思い出はいつか私たちを救うでしょう。(米川正夫訳『カラマーゾフの兄弟 第四巻』(岩波文庫)p.403)


諸君は教育ということについて、いろいろやかましい話を聞くでしょう。けれど、子供のときから保存されている、こうした美しく神聖な思い出こそ、何よりも一番よい教育なのかもしれません。過去にそういう追憶をたくさんあつめたものは、一生すくわれるのです。もしそういうものが一つでも、わたしたちの心に残っておれば、その思い出はいつかわたしたちを救うでしょう。(米川正夫訳『カラマーゾフの兄弟』p.383)


君たちは君たちの教育についていろいろなことを聞かされているでしょう。しかし少年時代から大事に保存してきた美しい神聖な思い出、それこそおそらく最も素晴らしい教育なのかも知れません。そういう思い出をたくさん持っている人は、一生涯、救われます。そうしてたったひとつしかすばらしい思い出が心のなかに残らないとしても、そのひとつの思い出がいつか僕たちの救いに役立つことでしょう。(池田健太郎訳『カラマゾフの兄弟 2』 p.523)