漢字字形の問題点

4887152582野﨑邦臣『漢字字形の問題点』(天来書院, 2013)によれば、

現在、諸橋大漢和をはじめ殆どの漢和辞典・漢字表が「奇・寄・崎」を正体字とし、「竒・・﨑」等を俗字や異体字としている。が、それは筆写体の変遷を知らない、または知っていても無視している学者の一方的見解と私は考える。漢字の字形は筆写体と活字体の両面から研究しなければならない。

Yahoo! 知恵袋の回答の、『どちらかと言えば、「崎」が主流でした』というのとは異なる研究成果が披露されている。

拙著『Webアプリケーション構築入門』でも触れたように、JIS規格では同じ文字と見なされ包摂されている「吉」と「𠮷」や「高」と「髙」と違い、「﨑」は「崎」とは別の字としてJISには登録されているので(「吉」と「𠮷」、「高」と「髙」、「崎」と「﨑」はいずれもUnicodeでは区別できる)、そのまま使ってもいいように思うのだが、この記事のように、「崎」と書いてから「崎は大の部分が立」のような説明をするのは、第3水準漢字に対応していない端末を考慮してというよりは、マスメディアの申し合わせによるところが大きいのだろう。

いずれにしても、「崎は大の部分が立」を素直に受け取って横棒が1本多い文字を想像する必要はない。

4764106191共同通信社『記者ハンドブック 新聞用字用語集 』(共同通信社, 第12版, 2010)によれば、常用漢字表(異体字を除く)・人名用漢字・表外漢字字体表に載っているものを使うのが原則なのだが、「﨑」はそのいずれにも載っていない。『漢字字形の問題点』によれば、平成2年の法務省民事局長通達の「氏又は名に用いる文字」の別表に載っているらしい。

それはともかく、『漢字字形の問題点』は力作。「『康煕字典 東大本』が原刻本であることが、版木の割れ目の後から判断できる」とか。

天来書院のウェブサイトにサンプルがある。