セックスで寿命は縮むか?

1年間の平均セックス回数、日本人は48回で最下位という発表に関していろいろなことが言われています

否定的な解釈が多いわけですが、ここではおそらくほかでは語られていない事実を提示してみましょう

こんな話があります

非公認ではあるものの、現時点で世界最高齢の男性は、ウクライナのグリゴリー・ネストルさんだという。(中略)ネストルさんは、116歳にしてなお童貞である。100年以上の長きにわたり童貞を守り続けてきたことが彼の長寿の秘訣だったのだ。(なんでも評点

この「ネストルの規則」を信じるならば、セックス回数の少ない日本人の平均寿命が高いことは自然に納得できます

実際のところ、セックスの回数と平均寿命には関係があるのでしょうか。ここではみんな大好きExcelを使って調べてみましょう

まず、数字のデータをここから持ってきます

次に、平均寿命のデータをここから持ってきます

2つのデータを組み合わせて、散布図を書くとこんな感じになります(データをクリックして「近似曲線を追加」します)

セックス回数と平均寿命の関係

確かに、回数が増えると平均寿命が下がることがわかります

もう少し詳しくみてみましょう。分析ツールの回帰分析を使うと次のような結果が得られます(ExcelをHTMLにする時って「<([a-z/]+).*?>」を「<\1>」に変換するのか?)

  自由度 変動 分散 観測された分散比 有意 F
回帰 1 7.6537 7.65366883 5.2377 0.0326
残差 21 30.686 1.46125387
合計 22 38.34      

この「回帰分析のF検定」で見るべきは「有意F」の値です。これが0.05より小さいと、無関係ではないと見なされるのがふつうです。ここでは0.0326(<0.05)なので、セックス回数と平均寿命には関係があるということになります

日本人はセックスを減らす代償として長い寿命を得ているのです(少子化との併せて語られることの多い話題ですが、セックスを減らすことは必ずしも絶滅にはつながりません)。全童連恐るべし

長生きのために「ネストルの規則」を実践する前に、次のような本を読んでみるといいでしょう

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門ダレル・ハフ『統計でウソをつく法』 講談社, 1968.

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?門倉貴史『統計数字を疑う』 光文社, 2006.

データはウソをつく―科学的な社会調査の方法谷岡一郎『データはウソをつく』 筑摩書房, 2007.

追記:少なくとも全童連の会長は長寿を目指して童貞を続けているわけではないそうです。5/6の東スポでそう明言していると教えていただきました。その記事では、ネストルさんは女性ホルモンが多いせいで寿命が長いという説が紹介されています。女性ホルモンの量の国別データがあれば、検証してみたいところです

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