私がグレン・グールドを好きなのは、演奏だけでなくセルフ・プロデュースの仕方にも惹きつけられるからだ。若くしてコンサート活動を止めた代わりに、膨大な録音や映像、著作を残した。そういうパフォーマンスの、どこまでが演出されたものだったのか。今回公開された映画の、二人の子を持つ女性との生活の記録には、彼のコントロールできないコントロール願望が刻まれている。天才芸術家の愛と孤独。
ほかにおすすめの映像
レーザーディスク版を持っている(Collection 2も)。プレーヤーも、これのために買ったと言っていいだろう。DVDを買う人がちょっとうらやましい。
Amazonで絶賛値下がり中だから、初値で買った私は少し悲しいのだが、後述のBoxセットのその後のことを考えると、好きな人はさっさと入手しておいた方がいいかもしれない。
ほかにおすすめの著作
1冊だけあげるなら、著作集2巻「パフォーマンスとメディア」だろうか。
ほかにおすすめの録音
Glenn Gould Remastered – The Complete Columbia Album Collection CD版またはUSB版(ハイレゾ)。
グールドの一般的ではない解釈をバーンスタインが採用した演奏。映画でも登場した「協奏曲にあっては誰がボスなのか? 独奏者なのか、それとも指揮者なのか?」というバーンスタインの有名な前口上「心配しないで下さい。グールド氏はちゃんと来てますから・・・」が収録されている。
- The Idea of North
- The Latecomers
- The Quiet in the Land
- Casals: A Portrait for Radio
- Stokowski: A Portrait for Radio
自動ピアノによるグールドの再現。オリジナルとの違いはグールドの肉声が聞こえないことと、音がクリアになっていること。グールドは、死んでもなおメディアについての話題を提供し続けている。