パズル好きはもちろん、数学マニアや物理マニアの間にも根強い人気があるルービックキューブ。
単なるパズルという認識しかない向きは、まずホフスタッター『メタマジック・ゲーム—科学と芸術のジグソーパズル』がおすすめ。
マジックキューブは単なるパズルを超えている。巧妙な機構の発明、気晴らし、教育玩具、教訓のタネ、また、創造の刺激がそこにある。(旧版p.288)
数学や物理との関係については、1個の隅の小体を時計回りに1/3回転させたものをクォーク、反時計回りに1/3回転させたものを反クォークと呼べることを指摘しておけばよいだろう。
数学的な話を追求したいならば、Bandelow. Inside Rubik’s Cube and Beyond. ホフスタッターによれば、
「おそらく、英語で書かれたキューブに関する本としては最高(旧版p.797)」
。絶版だがどこかで見つかるだろう(私はAmazon.comで購入した)。新しいものとしては、David Joyner『群論の味わい—置換群で解き明かすルービックキューブと15パズル』(共立出版, 2010)がある。Joynerの講義録 Mathematics of the Rubik’s cube はより本格的だ。
Rubik’s Cube と群論がよくまとまっている。
解くスピードを究めたいなら頭を鍛える ルービックキューブ 完全解析!。昨年出版されたムックだが大きな書店にはまだ残っているかもしれない(これは皮肉ではない)。
自分で解くのが面倒なら、Rubik’s Cube Solving Robotに任せればいい。
ルービックキューブの拡張には、2つの方向がある。
一つめは、セルの数を増やすこと。
拡張とは言いにくい2x2x2。
二つめは、次元を増やすこと。
「次元」を聞いて「時間軸」を思い浮かべる人は、この世界に縛られているのかもしれない。残念なことに時間軸に関わる回転を取り入れた拡張はまだない。あるのは、空間次元を増やしたものだ。もちろんこの世界でそのまま遊ぶことはできないため、展開図をコンピュータで描いて解く。4次元版(MagicCube4D)と5次元版(MagicCube5D)がある。球面が4次元以上では「超球面」と呼ばれることから考えると、キューブも「超キューブ」になるべきと思うのだが、どちらも名前はキューブのまま。
拡張とは言いにくいがRubik’s Plateもある。なぜSquareでなくPlateなのかというと、裏表や回転というSquareにはない概念を使っているから。これなら、できなくて気まずいという思いをすることはない。考えなくていいという意味でも日本人向き。
グリッド数 | 次元 | |
---|---|---|
2 | 2x2x2 | Rubik’s Plate |
3 | 3x3x3 | |
4 | 4x4x4 | MagicCube4D |
5 | 5x5x5 | MagicCube5D |
6 | 6x6x6 | |
7 | 7x7x7 | |
9 | 9x9x9 | |
10 | 10x10x10 | |
11 | YouTube | |
13 | YouTube | |
17 | YouTube | |
20 | YouTube | |
22 | YouTube | |
28 | YouTube | |
80 | YouTube | |
100 | YouTube | |
1000 | YouTube |
2010年に,トーマス・ロキッキ,ハーバード・コシエンバ,モーレー・ダビッドソン,ジョン・デスリッジによる数学者,技術者,計算機科学者のチームが,グーグルによって提供された350CPU年という計算時間を使って,神の手数が20であることを示した(『対称性』p.100)