なぜブログを書くのか(第8の説)—小さなかけら

「ブログ始めました」ということを聞かなくなって久しい。代わりによく聞くのが、「Twitter始めました」や「Facebook始めました」だ。ところが先日、ある学生がブログを始めたという。そこで、その学生に勇気を与えるために、ブログについての言説を、ローゼンバーグ『ブログ誕生 』(NTT出版, 2010)から引用していくつか紹介しよう。

「ウェブにゴミを増やすのか?」と不安になったら、この言葉を思いだそう(SFをブログに置換)。

スタージョンの法則「たしかにSFの90%はゴミだ。でもそれは、どんなものでも90%はゴミだからだ」(p.390)

「FacebookやTwitterのほうがいいんじゃないの?」と思ったら、この言葉を思いだそう。

フェイスブックやマイスペースやツイッターに人が集まるようになったからといって、ブログの記事が書かれたり読まれたりすることがなくなるわけではない。ただ、読み書きのパターンは変化するだろう。ごく少数の友達と気軽にやりとりをするチャンネルとしては、ソーシャルネットワークの方が簡単で効率的だ。世界に訴えたいことが140文字以内で表現できることなら、ブログではなくツイッターを選んでいい。このような状況の変化をうけ、ブログの世界ではすでに変化が始まっている。遠くまで声を届かせたいという意識が若干ながら弱くなり、じっくりと語る雰囲気へと変化しようとしている。(p.426)

「なぜブログを書くのか?」と思ったら、この言葉を思いだそう。

ブログの記事は小さなかけらだが、優れたブログはライターがビジョンを持ってかけらを集めており、そこには確たる根拠がある。単なる切れ端ではなく、T・S・エリオットの有名な『荒地』にあるように、「廃墟とならないように集められた」かけらなのだ。(p.446)

『ブログ誕生 』はブログの歴史をよくまとめている良書。膨大な参考文献リストはここで公開されている。

すでに廃墟となってしまったかもしれない世界で、私もかけらを集めている。