30th ANNIVERSARY ドラゴンボール 超史集


4087925056古印体ではじまるマンガ『ドラゴンボール』,公式発売日前にジャンプを売ってくれる店を探して行くほど好きでした(インターネットのない時代)。高校入試の試験当日,真冬の早朝に,発売前のジャンプを家に持ってきてくれた友人の優しさは忘れませんが,肝心の内容はほとんど忘れました。フリーザを倒した後は特に。『30th ANNIVERSARY ドラゴンボール 超史集』に掲載されている最終回を見ると,一応最後まで読んだことは思い出すのですが。

至高の靴職人


4093883912竹川 圭『至高の靴職人 関信義 手業とその継承に人生を捧げた男がいた』(小学館, 2014)

こんな話を知っているか。むかし,ヨーロッパのどっかの国でベントレーが盗まれた。もち主は泥棒に広告を打とうと思い立つ。酔狂なやつだな。が,やつが本領を発揮するのはこっからだ。その広告はなんと,クルマはくれてやるから,トランクに入っていたジョン・ロブの靴だけは返してくれって内容だったんだ。ロブっていや,紳士靴の一等賞っていわれるブランドだわな。それにしたって,ベントレー以上の価値をみとめさせたってのはちょっとすごい。

これが実際にあった話かどうかなんてのは問題じゃないんだ。

おれもそういう靴がつくりたい。客にぎゅっと両手で抱きしめてもらえたら最高だね。それにはいまもって努力が必要だ(p.180)

マルバツの部屋


人工知能の話題に「中国語の部屋」というのがあって・・・(以下略)

マルバツに負けないための手順がすべて書かれたを持った人が部屋にいて・・・(以下略)

そういうは実際に用意できます(クリックで拡大)。

先手版用(赤が先手・青が後手)

後手版用(赤が先手・青が後手)

同じ盤面に対応するノードが複数あるのは,手順をわかりやすくするためです。HTMLとCSSだけで作るマルバツのページ数は,上の絵のノード数より少なくなっています。

この絵の読み方を知ってさえいれば,マルバツの素人でもゲームに負けることはありません。

4535604215この絵を描ける私は,マルバツを理解しているつもりだったのですが,マーティン・ガードナー数学ゲーム全集の第1巻,マーティン・ガードナー『ガードナーの数学パズル・ゲーム』(日本評論社, 2015)を読んで,甘かったことを思い知らされました。楽しみな全集が出たものです。

「プレーヤーが最善を尽くせば引き分けになる」というのがマルバツの一応の結論ですが,それを知っていることは,マルバツのすべてを知っていることを意味しません。

たとえば,両者が最善を尽くせば引き分けという局面でも,相手が素人なら,勝率が高くなる手があります。

これは,人間がコンピュータ向けの手を打てば勝てるという囲碁の現状に似ています(参考)。将棋はあと10年もすれば,ソフトウェアが準最善手と人間に合わせた手を使い分けられるようになるかもしれません。

というわけで,少なくとも上述のを持った人がいるだけのマルバツの部屋は,マルバツのことはわかっていません。

プログラミングをはじめよう


4479794654池澤あやか『アイディアを実現させる最高のツール プログラミングをはじめよう』(大和書房, 2015)

この本を読んだだけではたぶんプログラムは1行も書けませんが,この本には,「プログラミング,やってみようかな」と読者に思わせる力は十分にあると思います。読者がGameSaladを試すようになったり,Unityアセットストアをぶらつくようになったりするだけでも十分です。コード例の二重引用符を“”にしていることと(p.160),演算子を紹介するときに縦書き用のフォントと横書き用のフォントを混在させている(p.170)のがちょっと気になりました。

『プロの数学』・『大学数学への道』


4489022123大学入試の数学の問題には,高校の範囲を超えた数学の知識があって初めてその本質を理解できるものがある。そういう問題とその本質を紹介する2冊。松野陽一郎『プロの数学』(東京図書, 2015)米谷達也・斉藤浩『大学数学への道』(現代数学社, 2013)

4768704255『プロの数学』(プロの定義は不明)は,その大部分が線型代数と解析になっていて,大学の教養の数学にそのままつながりそう。『大学数学への道』はそういうことにこだわらず,興味深い話題をいろいろ紹介してくれる。

こういう企画は面白いし読んでいて勉強にもなる。しかし,こういう企画が成り立ってしまうことが,大学入試の欠陥を表しているとも思う。大学入試なのだから,高校で学ぶ範囲でその本質を理解できるものを出題するのが理想だと思うのだが,それでは入試が成り立たないということなのだろう。

この本で取り上げた大学入試問題は,すべて東京大学と京都大学の過去出題問題になりました。いろいろ考えた結果,こうなりました。(『プロの数学』p.v)

東大と京大の問題の質が一番よかったということだと初めは解釈したが,東大と京大の問題が特に理想から遠いおかげでネタにできたということもあるかもしれない。

問題に書かれていない本質を捉えるためには「出題者の意図」を探ることが必要で、『プロの数学』にはそういう表現が何度も出てくる。出題者の意図を探ることが、数学のトレーニングにおいてよいことなのかどうか考えさせられる。