MathematicaのRegionPlotのバグ


10.3.1ではできたことが,

10.4でできなくなってしまいました(11.2もダメ)。(報告済み)

Mathematicaのサジェスチョンバーはオフにすべき(10.4)(10.4.1で修正)


10.4.1で直ったようです。

Mathematica 9で導入されたサジェスチョンバーのせいで計算結果がおかしくなることがあるようです。テクニカルサポートにバグを報告したら,その回答として教えてもらいました。

例1:以下のコードを1行ずつ実行するとMathematicaが落ちます。

m = SparseArray[{{0, 1, 0}, {1, 0, 1}, {0, 0, 0}}];

n = Map[With[{s = Total[#]}, If[s == 0, #, #/s]] &, Normal[m]];

n.n

例2:以下のコードを1行ずつ実行するとコンテキストが勝手に変わってしまいます。

Context[]

f = Solve[{2 x + y == p, x - 2 y == q}, {x, y}][[1]];

x + y ≤ 4 /. f

Context[]

せっかくフロントエンドとカーネルを分けているのにどうしてこんなことになるのか不思議ですが,文句を言っても計算結果は変わらないので,以下の資料に従って,サジェスチョンバーはオフにしておきましょう。

入力予測インターフェースの機能をオフにする方法

馬場博史『国際バカロレアの数学 世界標準の高校数学とは』(松柏社, 2016)


4775402315多くの国で大学入学資格として認められている国際バカロレア(IB)資格。その取得に必要な能力のうちの数学について解説した一冊。その特徴は,①学際的であること,②グラフ電卓が必要であること,③試験中に公式集を参照できること,であろう。

1107628423①学際的であることは,第4章で紹介されている問題に,日本の大学入試ではあまり見ない応用数学の問題が多いことに表れている。必修要件の一つ,Theory of Knowledgeの参考書Decoding Theory of Knowledge翻訳が出るらしい)にも学際性を感じる。

②グラフ電卓に必要な機能と利用できる機種のリストは http://www.ibo.org/globalassets/publications/use-of-calculators-jp.pdf にある。数式処理システム(Computer Algebra System, CAS)の機能が不可というのはちょっと中途半端ではないだろうか(紙と鉛筆だけの日本を棚に上げて)。

今後,IB認定校になる学校の数学の教員は,グラフ電卓を自由に使いこなし,指導できるようになることが求められる。(p.195)

このあたりは時代とともに変わるはずだから,日本の高校教師には,もっと先を行ってCASを自由に使いこなせるようになることを求めたい。

公式集の日本語版を見ると,日本の高校数学よりも,少し範囲は広いようだが,そのあたりの詳細な比較があるとよかった。(日本の大学入試も,もう少し範囲を広くして,その分難易度を下げた方がいいと思う。)

細かいこと

  • Mathematical Exploration(試験とは別に課されるレポート)には,所属校の教員の能力が強く影響しそう。
  • (2次元ベクトルの外積が)C言語などでも使われている(p.123)というのはどういうことなのだろう。
  • 第4章で紹介されている問題(全41問)に類題が多すぎる。
  • 周期的な時系列データに関する問題(18, 21, 22, 24, 25, 26)で,a sin (b(t-p)) +qというモデルを何の検証もなく導入しているのはよくないと思う。より悪いモデルでも,何らかの検証がある方がマシだろう。(それを高校生に求めるつもりはない。問題があまりよくない気がする。)
  • 問題40は,x=p(1-p)とすればふつうの電卓でも解ける。
  • Further Mathematics HL(最高レベルの数学科目)の話題がもっとほしかった。

ミンスキー『計算機の数学的理論』


4000059416私が初めて計算機科学を学んだ『ファインマン計算機科学』では,ミンスキーの本に掲載されているチューリングマシンを使って計算の理論を解説していました。ファインマンは何でも自分で再発明してみるタイプだったそうなので(ファインマンさんの流儀),万能チューリングマシンも自分で構成したかもしれません。しかし,解説に使ったのはミンスキーのものでした。

われわれの議論は,ミンスキー[1967]の議論を念入りにたどっている。(p.56)

このミンスキー[1967]は Computation: Finite and Infinite Machines のことで,Amazonでは見つけにくいのですが『計算機の数学的理論』という翻訳があります。

4782800541ミンスキーと言えば『心の社会』が有名で,たとえば石田晴久先生は,『コンピュータの名著・古典100冊』新版あり)の中で次のように書かれています。

節の数は全部で262もある。(中略)この262節の中には修士論文や博士論文のタネがごろごろしているような感じがする。(p.81)

『計算機の数学的理論』にも,実は博士論文のタネが埋まっていて,私はかつて,それを拾って博士論文を書きました。(タネから芽が出たとは言いませんが。)

追悼:マーヴィン・ミンスキー。MIT人工知能研を設立したAI研究の先駆者