さようなら、いままで魚をありがとう


さようなら、いままで魚をありがとうダグラス・アダムス (著), 安原 和見 (翻訳) 文庫 (2006/06/03) 河出書房新社

3部作だと思っていたのは旧訳が3巻までしかなかったからか。

第4部の翻訳が出た。手元の原書The Ultimate Hitchhiker’s Guide to the Galaxyを見ると、第5部までだったね。最終刊も翻訳が予定されているらしい。“Don’t Panic!”を「パニクるな!」と訳し直した欠点だけが目立った新訳も、これで存在意義が高まるね。

人生、宇宙、すべての答えならすでに人類は手にしている。

あとは、究極の問が何なのかがわかればいいのさ。

銀河ヒッチハイク・ガイドそういえば、去年公開の映画もDVDになってたね。

追記:第5部『ほとんど無害』

追記:まとめ

現代SF1500冊


大森 望
出版社: 太田出版 ; ISBN: 4872339886 ; 回天編 巻 (2005/10)

  • ほかにも読まなきゃいけないものがあるからSFはイーガンしか読まないという人
  • いろいろ読んでるけどほとんど忘れたから復習したいという人
  • SFといえば、アシモフ・クラーク・ハインラインで止まっているという人

におすすめ。

「なんだ結局イーガンだけ読めばいいのか」ということにはならないからご安心を。もう少しある。でも、時間がなければイーガンだけでも仕方がないということにはなりそう。

ちなみに私のベストは、短編「ルミナス」、プラトン主義に疑問を持ったことがある人は楽しめると思う(そもそも、この短編をきっかけにイーガンを読むようになった)。

いわゆる「いいSF」に比べたら、スター・ウォーズ・シリーズはちょっと。壮大な叙事詩のはずが、なんだ、嫁さん助けたかっただけか、みたいな。予知夢の落ちはありふれたパターンで、まったく、感動的。

最近じゃ宗教になりつつあるらしいけど、それを危惧したルーカスが、わざとジェダイをおとぼけ集団に描いたとか。なんだろう、「自由」とか「民主主義」のプロパガンダ映画を作るように圧力でもかかったのかな。それに反発して、「民主主義」という言葉で失笑されることを目指したとか?

スター・ウォーズの『ジェダイ』を宗教に

銀河ヒッチハイク・ガイド


ダグラス・アダムスによる、『2001年』の対極にある傑作SF。人生、宇宙、すべての答えを探す旅はここで終わる。この問いが何なのかわからない人、宇宙旅行における「タオル」の重要性をまだ知らない人は、このガイドを急いで読んだ方がいい。宇宙に投げ出される時は突然やってくるのだから。

日本語訳は2種類。風見潤訳と安原和見訳。最大の違いは、有名なフレーズ“Don’t Panic”の訳し方。

風見潤訳は「あわてるな」。

  1. 『銀河ヒッチハイク・ガイド』
  2. 『宇宙の果てのレストラン』
  3. 『宇宙クリケット大戦争』

安原和見訳は「パニクるな」。

  1. 『銀河ヒッチハイク・ガイド』
  2. 『宇宙の果てのレストラン』
  3. 『宇宙クリケット大戦争』
  4. 『さようなら、いままで魚をありがとう』
  5. 『ほとんど無害』

「あわてるな」に長年親しんでいるせいか、「パニクるな」にはかなりの違和感を感じる。

The Ultimate Hitchhiker's Guide to the Galaxy (ペーパーバック)

主要な銀河文明の歴史には例外なく、それぞれ明確に異なる三つの段階が認められるようである。すなわち、生存、疑問、洗練の三段階であるが、これはまた、いかに、なぜ、どこの段階とも呼ばれている。

たとえば、第一段階に特徴的な問いは「いかにして食うか」であり、第二段階の問いは「なぜ食うのか」であり、第三段階の問いは「どこでランチをとろうか」である。(安原和見訳『ヒッチハイク・ガイド』p.288)

ふむ、訳者あとがきを読んで不安になる向きは、シリーズ五巻を一冊にまとめた原書を持っていてもいいかもしれない。

最近の映画化

万物理論


万物理論グレッグ・イーガン 山岸 真
東京創元社 (2004/10/28)

今活躍しているSF作家ではおそらくベストであろうイーガンの新作(といっても原著は1995年)。物理理論も物理世界にあるということから彼が想像したある万物理論のありようを描いている。物語の横糸は、例によって科学と人間社会の関係・人間のあり方のようなこと。

Distressという原題を万物理論と訳すことで著者の意図が裏切られてはいないのだろうか。

以下は重要な参考文献:

しあわせの理由


しあわせの理由グレッグ・イーガン(編・訳:山岸真)

著者のホームページ

例によって、かなわないなと思う。科学技術がどう社会を変えるかという問題について、圧倒的な発想力を見せつけた「祈りの海」に比べると地味。しかし、彼がSFを通じて考えたいことや表現したいことはちゃんと入っている。

量子サッカーは面白そうだが、シミュレーションで遊ぶならともかく、実際にやる場合、ゲームに干渉せずに確率振幅を得られるのだろうか。SFだってことはわかっているのだけれど。

Stephen Wolfram’s Science by Greg Egan

複雑性についてのウルフラムのアイディアは重要で面白いが(GEBに並べている)、大げさで冗長な語り方はいただけないというよくある感想。ルール110が彼の発見だと誤解しているが、それを知ったらどう言うだろう。