舟を編む


4334927769三浦しをん『舟を編む』(光文社, 2011)が映画になり、DVDになりました。

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原作でも映画でも、一つのものを時間をかけてゆっくり作っていく人たちの姿には、(フィクションとはいえ)頭が下がります。

原作で印象的だった、公の団体ではなく出版社が辞書を作る理由についての、松本先生のこの台詞は使われていませんでした。(ポイントを絞って映画化するのは当然です。)

公金が投入されれば、内容に口出しされる可能性もないとは言えないでしょう。また、国家の威信をかけるからこそ、生きた思いを伝えるツールとしてではなく、権威づけと支配の道具として、言葉が位置づけられてしまうおそれもある。(中略)言葉は、言葉を生みだす心は、権威や権力とはまったく無縁な、自由なものなのです。(p.226)

「漢字」とはちょっと違いますね。学問とも?

逆に、映画だけにあった印象的な台詞は、宮﨑あおいさんの「今でしょ」でしょ。

関連:辞書を編む

489629257X追記:国家的辞典の失敗の記録:飛田良文『国立国語研究所「日本大語誌」構想の記録』(港の人, 2012)

靴をネタにした作品たち


B00BQA5OOU新海誠『言の葉の庭』(東宝, 2013)

靴職人を目指す少年が、年上のお姉様に靴を作ってあげようという話(らしい)

私が靴を愛するワケ

“靴と女性の魅惑の関係”に迫る、世界初のドキュメンタリー映画(らしい)

4344020677本城雅人『シューメーカーの足音』(幻冬舎, 2011)

ミステリー ← ビスポーク + 英国王室御用達

大事な仕事に行き詰まったらまず靴を磨くべきだ。そうすれば、心の迷いが吹っ切れ、曇った鏡から湯気が取れるように困難が取り除かれていく

4088598229大河原 遁『王様の仕立て屋 サルト・フィニート 25』(集英社, 2010)

仕立て屋さんのマンガだが、この巻のネタは全部紳士靴

ホテルマンは靴を見て客の良し悪しを量るというが靴職人は靴の裏まで見る

4163523804フェラガモ『夢の靴職人―フェラガモ自伝』(文藝春秋, 1996)

あなたの足が変だとすれば、それは靴が悪いからです。(序文)

408879494Xえすとえむ『IPPO 1』(集英社, 2012)

ビスポーク職人を中心にした短編(いい話)集

シンデレラの運命を1足の靴が変えたように

Glenn Gould Bach Edition(38CD+6DVD)


何十枚ものフロッピーディスクで提供されたソフトウェアがCD-ROM、DVDに移行したように、何十枚ものCDで提供される音楽も、そろそろ別のメディアに移行した方がいいと思います。

Glenn Gould Bach Edition

しかし、2008年に約3万円で発売されたグールド、ボックスセット(80枚!)の価格が今大変なことになっているのを考えると、

  • グールド、ボックスセット(80枚!)を持っていない人は、とりあえず買っておいた方がいいんじゃないでしょうか。
  • グールド、ボックスセット(80枚!)は持っているけど映像は持っていないという人も、とりあえず買っておいた方がいいんじゃないでしょうか。
  • グールド、ボックスセット(80枚!)は持っているし、映像も持っているけどレーザーディスクだという私は、とりあえず買っておきましょう。未発表だった映像もあるみたいですし。(レーザーディスクの映像は全部入っているのかなあ。)

この価格なら、一家に一セットだと言ってもいいのではないでしょうか。

追記

Glenn Gould Remastered – The Complete Columbia Album Collection CD版またはUSB版(ハイレゾ)

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注意:輸入盤 USB 2015/12/4発売 『Glenn Gould Remastered – The Complete Columbia Album Collection (USB) 』(8887507475-5)に関するお詫びとお知らせ

ザ・ホワイトハウス 〈シーズン1-7〉 コンプリートDVD BOX(42枚組)


いつも言っていることですが、私が最初にイーガンに打ちのめされたのは「ルミナス」を読んだときです。それは『90年代SF傑作選・下』に収録されたもので、この短編集は他の作家のものも読めてお得ではありますが、「ルミナス」は『ひとりっ子』にも収録されているので、「イーガンだけでいい」というのであれば、こちらを手に取るのがいいでしょう。

「ルミナス」の続編「暗黒整数」が、短編集『プランク・ダイヴ』に収録されています。完成度という点では「ルミナス」に及ばない作品ですが(あれだけの傑作の続編ですから)、ちょっと面白いシーンがありました。

地球外(数学外?)知性体とのコミュニケーションについての人間の会話です。

「取りかえしのつかない真似をしないって信用できる政府がどこかにある? これを悪用しようとしないところが?」

(中略)

「なら募集広告を出せっていうのか?〈必須条件・数論に堪能、マキャヴェリを熟知、『ザ・ホワイトハウス』(七シーズン放送されたアメリカのテレビドラマ)の完全版ボックスセットを所有〉とか?」(p.106)

数論とマキャベリはいいとして、『ザ・ホワイトハウス』ってなんだよと思うわけです。これから長きにわたって読まれるであろうイーガンの作品に、テレビドラマなんていう時事的なものを入れていいのかと。それとも、いい意味でかどうかはともかく、ある程度長きにわたって観られるはずだという思いが、イーガン自身にあったのだろうかと。

後者もありえると思わせるものが、『ザ・ホワイトハウス』にはあります。それを確かめるためのマストアイテム、完全版ボックスセットが出ました。バラで買いそろえていた人の機嫌を損ねそうな価格で。

政治的にはかなりリベラルなドラマで、共和党支持者が楽しめるかどうかは疑問です。ドラマの中の大統領(バートレット)と、それを演じたマーティン・シーンの政治信条はかなり近いようで、最近も、Newsweek 2012年6/13号のインタビューでこんなことを言っていました。

聞き手:『ザ・ホワイトハウス』のファンとして聞きたいが、バートレット大統領なら今のアメリカの停滞ぶりをどう打開する?

シーン:オバマ大統領と同じ政策を取る。オバマは特権を乱用する富裕層に狙いを定めている。

言葉を探して知恵を振り絞る、大統領のためにスピーチを準備するシーンが特に好きです。