Mac OS X 10.8 Mountain Lionで失われた類語辞典を求めて


「日本語に類語辞典はいらない」とAppleが判断したということなのでしょうか。

Mac OS X 10.7 Lionの辞書アプリには以下の日本語関係辞書が含まれていました。

  • 大辞泉(小学館)
  • プログレッシブ英和・和英中辞典(小学館)
  • 類語例解辞典(小学館)

Mac OS X 10.8 Mountain Lionの辞書アプリに含まれている日本語関係辞書は以下の通りです。

  • スーパー大辞林(三省堂)
  • ウィズダム英和・和英辞典(三省堂)

大辞泉が大辞林に、プログレッシブはウィズダムになったのはいいのですが、類語辞典が無くなったのは明らかに劣化です。大辞林が類語辞典を兼ねるわけでもありませんし。(皮肉なことに、大辞泉の語釈には類語も記載されているので、類語辞典を兼ねられます。)

iOSを5から6にアップデートすると地図が劣化するというひどい話がかつてありましたが、Mac OSのアップデートは有料なのでもっとひどいです。お金を払うと類語辞典が無くなるという。信仰を試す相手は熱狂的な信者だけにしてほしいものです。

10.7 Lionが手元にあれば、/Library/Dictionariesのファイルをコピーすればいいようですが(参考:最高の辞書環境を目指して)、そうでない場合はインストールメディアからサルベージするのでしょうか。

  1. LionをApp Storeからダウンロードし直す(これができない人にこの記事は無意味です)
  2. アプリケーションの「Mac OS X Lion インストール」をCtrl+クリック、「パッケージ内容の表示」をクリックする
  3. Contents/SharedSupport/InstallESD.dmgをダブルクリックする
  4. cd ~/Desktop #別の場所でもいい
    pkgutil --expand "/Volumes/Mac OS X Install ESD/Packages/Essentials.pkg" ./tmp
    ditto -x --bom ./tmp/Bom ./tmp/Payload ./
  5. ライブラリ/Dictionariesの中に小学館の辞書がある

参考:Mac OS Xのパッケージファイルを操作する

世界一軽い日本のことば


ジョブズの遺志をガン無視した犯人、それは講談社さんアンタだよ!

ジョブズの伝記の装丁が、日本語版だけひどいと話題になっていました(左が英語版・右が日本語版)。

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「帯を外せば問題ない」という人もいるかもしれませんが、ジョブズがマークラから学んだ印象の重要性、

人は“表紙で書籍を評価する”(本書で何度か登場するが、例えば下巻p. 100)

からすれば、「Steve Jobs」と「スティーブ・ジョブズ」を両方大きい文字で書いているようでは、よく評価されるのは難しいでしょう。

個人的には、原書が1冊のものを分冊で翻訳することに文句を言いたいのですが、そういう重さの話はまた別の機会に。

真犯人は私たち消費者なのではないでしょうか。私たち消費者の好みに出版社が合わせているだけなのではないでしょうか。

似たような本なのに売り上げが全然違う。その原因を分析して、「デザインが派手だった」とか「帯の文句が目を引いた」という結論になる、ということはよくありそうな気がします(確証はありません)。

タイトルでも似たようなことは起きていそうです。邦題のタイトルがあまりに大げさだと思って調べると原題は冷静なものだった、というのはよくあることです。

『世界で一番美しい元素図鑑』の原題は The Elements でした。

『世界でもっとも美しい10の物理方程式』の原題は The Great Equations でした。

『世界でもっとも美しい10の数学パズル』の原題は The Liar Paradox and the Towers of Hanoi でした。

『世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント』の原題は The Complete Idiot’s Guide to Project Management でした。

「世界」にはいろんな意味があるので、もしわかしたら私の解釈が間違っているのかもしれませんが、「日本ではこういう恥知らずなタイトルの方が売れる」という経験則を出版社が持っているのなら、その原因の一部は消費者にあるはずです。

『もっとも美しい対称性』の原題は Why Beauty Is Truth でした。

A Beautiful Mind『ビューティフル・マインド』という邦題で成功したにもかかわらず、
A Beautiful Math『もっとも美しい数学 ゲーム理論』という邦題で出してしまうのにはちょっとあきれました(内容は素晴らしい)。ジョブズもよく「最高の」って言っていましたから、ことばに関して言えば、通じるものがあるような気もします。

475714279X『都市は人類最高の発明である』の原題は Triumph of the City でした。

4569805744タイトルがインフレを起こしているのは翻訳書に限りません。もともと日本語で書かれた本の方が先を行っているかもしれません。『超・超面白くて眠れなくなる数学』なんて、もう、タイトルだけでおなかいっぱいです。

もっとも、政治家を引き合いに出すまでもなく、日本のことばは「軽い」ものなので(このブログのように)、重要さをアピールするためには、「世界一の」とか「最高の」、「もっとも」といった、重い修飾語が必要になのかもしれません。

恥知らずなタイトルが日本のことばの軽さを表しているのだと思えば、軽やかな気分になれるというものです。ジョブズの伝記の装丁も、そんな軽さの表れと言えるのではないでしょうか。

機械翻訳を使って日本語→英語→日本語…(Bing版)


「翻訳に不動点はあるか—我々は生活の中で美しいを破壊している by Google」では、Google Translate APIを使って「日本語→英語→日本語」や「英語→日本語→英語」を1クリックでできるようにしていました。Google Translate APIが終了してしまうということなので、作り直さなければなりません。

先日で紹介したMicrosoft Translator V2がここでも使えます。翻訳APIを使えるようになるとまず、日本語→英語→日本語…みたいなことを試したくなるものなので、練習にもちょうどいいでしょう。

Open Questions

翻訳エンジン自体が不変のものではないので結論を出せるものではないかもしれませんが、以下のそれぞれに該当するものはあるでしょうか。

  1. 収束しない(測定可能な周期での振動もしない)
  2. 測定可能な周期で振動する

お約束ですが、ボタンを押した時の動作の実装方法やAPIを使う基本的な方法については、拙著『Webアプリケーション構築入門』に書いてあります。

Bingを使ってTwitter上のさまざまな言語のつぶやきをひとつずつ翻訳するユーザーサイドスクリプト


2011年11月末でサービスを終了するGoogle Translate API。これを利用していたアプリその他の対応に追われるという話、その2です。

ある言語で書かれたウェブページをまとめて翻訳するというような場合には、その1で紹介したTranslate Elementで何とかなりそうです(ページのコンテンツが動的に変更される場合には対応できませんが)。

しかし、Twitterのタイムラインに対しては、Translate Elementは無力です。Twitterのタイムラインには複数の言語のつぶやきが同時に存在するため、「ある決まった言語の文書を別の言語に翻訳する」という仕掛けでは対応できないのです。

APIを使ってつぶやきを一つずつ翻訳するというのがよい解決策で、Google Translate APIを使ってそれを実装したのがTwitter上のさまざまな言語のつぶやきをひとつずつ翻訳するユーザーサイドスクリプトでした。一つのつぶやきの中に複数の言語の文章があるときはダメでしたが、たいていの場合はこれで十分でした。

Google Translate APIが使えなくなるということなので、代わりのAPIとしてMicrosoft Translator V2を試すことにします。

GoogleのAPIと違って、まずBing Developer CenterでBing AppIDを取得しなければなりませんが、それさえ済めば。あとはAPIリファレンスを見ながら問題なく使えるでしょう。(お約束ですが、APIを使う基本的な方法については、拙著『Webアプリケーション構築入門』に書いてあります。)

というわけで、Microsoft Translator V2を使ってつぶやきを一つずつ翻訳するユーザーサイドスクリプトを書きました。

FirefoxとChrome 13 betaで動作を確認しています。Chrome 12では動作しません。

インストール方法

  1. Bing Developer CenterでBing AppIDを取得する
  2. (Firefoxの場合)Greasemonkeyをインストールする
  3. Twitter Translator (Bing)をインストールする
  4. Twitterにアクセスする
  5. (最初に利用する時のみ)Bing AppIDを入力する
  6. (最初に利用する時のみ)ブラウザ(あるいはタブ)を一度閉じ、再度Twitterにアクセスする

Bing AppIDをリセットしたい時は、twitter.comの「Bing_AppID」というcookieを削除してください。

Bing AppIDを設定しなければならないので、ちょっと面倒なスクリプトになってしまいましたが、とりあえずはこれでよしとしましょう。

2011/12/10 Twitterの新しいUIに対応しました。

Twitter上のさまざまな言語のつぶやきをひとつずつ翻訳するユーザーサイドスクリプト


このスクリプトが利用しているGoogle Translate APIは廃止されることが決まっています。ですから、このスクリプトの代わりにBingを使ってTwitter上のさまざまな言語のつぶやきをひとつずつ翻訳するユーザーサイドスクリプトを利用することを検討してください。

Twitterは言葉の通じる相手とのコミュニケーションツールとして使うのが一般的ですが、大量の情報が集まっているわけですから、何か他のことにも活用してみたいと思うわけです。

何らかのキーワードを指定して、それを含んだつぶやきを検索してみる、なんていうことは、試したことのある人も多いでしょう。例として、「mathematica」というキーワードで検索した結果を挙げてみます。英語やスペイン語、中国語、ポルトガル語などがあるようです。よくわかりませんが。

「mathematica」というキーワードで検索した結果

日本語と英語はともかくとして、他の言語はよくわからないので、とりあえず、機械翻訳にかけてみたいところです。精度はともかく、使い勝手は向上している機械翻訳ですが、Twitter上で使うには、少し工夫が必要です。というのも、Twitterにはさまざまな言語のつぶやきがあるので、まとめて翻訳するわけにはいかないからです。

Google Chromeという親切なブラウザは、ユーザが設定した言語以外で書かれたページを、読みやすいように翻訳してくれます。しかし、元の言語を一つに決めなければならないので、Twitterでは失敗します。下の例では、英語以外のつぶやきは翻訳できていません。

Google Chromeの翻訳結果

ですから、Twitterのつぶやきは、ひとつずつ翻訳しなければならないのです。そのためのユーザーサイドスクリプトTwitter Translatorを書きました。

FirefoxとChrome 13で操作を確認しています。Chrome 12では動作しません。

インストール方法

  1. (Firefoxの場合)Greasemonkeyをインストールする
  2. Twitter Translatorをインストールする

つぶやきをひとつずつ翻訳した結果

翻訳先の言語は、ブラウザの言語設定で決まります。ふつうにFirefoxを使っている人は、特に何か設定する必要はないでしょう。言語設定を変更したい場合は、Google を使ったなんちゃって地域化で紹介したQuick Locale Switcherを使うといいでしょう。

一度にあまりたくさん翻訳させるとGoogleからIPではじかれるようです。残念ですが、タイムラインが忙しい人は使えないでしょう。

お約束ですが、こういう話を基本から学びたいという方には、拙著『Webアプリケーション構築入門 実践!Webページ制作からマッシュアップまで 』(森北出版, 2011)がおすすめです。