学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方


404400207X追記:文庫化した。

新学期は1年で最も辞書が売れる時期でしょう。学習用の英和辞典にはこだわりのある(あった)人が多いかと思いますが、国語辞典はどうでしょう。

「新明解国語辞典(新解さん)」の独特な語釈は有名なので、「国語辞典にも個性がある」ということは知っていても、いざ自分で選ぼうと思うと、かなりの種類があるので面倒になってしまうものです。

私自身、用例を文学作品から採っていて、その出典も明示している新潮現代国語辞典が最高と思っていました。「電子辞書に入っている広辞苑で十分」という人もいるでしょうし、「国語辞典なんてどれも大して変わらない」という人もいるでしょう。

4046532742私を含めて、このような、辞書を引き比べたりしない人間は、サンキュータツオ『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』(角川学芸出版, 2013)を読むと悔い改めることになります。小型の国語辞書にこれだけの個性の違いがあったのかと驚かされます。

辞書は2冊持つ時代だそうですが、すでに手元に何冊かはありますから、「2冊目」として推薦されているものから補充していこうかと思います。

(参考文献リストあり。索引なし。)

出版社 価格
4000800477 岩波 国語辞典(都会派インテリメガネ君!) 岩波書店 7新版 3150
4385131074 新明解国語辞典(マイノリティの味方! ワイルドな秀才) 三省堂 7 2940
4469021172 明鏡国語辞典(スマートな現代っ子) 大修館書店 2 3045
4084000183 集英社国語辞典(話のわかる副委員長的存在) 集英社 3 3150
4107302148 新潮現代国語辞典(実はイロイロ知ってる文学青年) 新潮社 2 3045
4828804552 ベネッセ表現・読解国語辞典(相談役にぴったり! 表現力豊かなアーティスト) ベネッセ 1 2940
4040132009 角川 必携 国語辞典(詩的に、丁寧に教えてくれる良家の子) 角川書店 1 2730
4095014083 新選国語辞典(現実主義!! クールな理系男子) 小学館 9 2730
4385139253 三省堂国語辞典(親切で気のいい情報通)追記:2013年12月に第7版が出版されました。 三省堂 6 2625
4000803131 日本語 語感の辞典(雰囲気を自在に操るスペシャリスト) 岩波書店 1 3150
4040221001 基礎日本語辞典(自分でも知らなかった本質を教えてくれる幼なじみ) 角川書店 1 5040

ジョブズが立っていた交差点


「jobs technology liberal arts」で検索すればすぐ見つかりますが、ジョブズがプレゼンでよく立っていた有名な交差点があります。テクノロジーとリベラルアーツの交差点です。

4062180731406218074Xジョブズの伝記(日本語訳はハードカバーとKindle版が同じ価格だというよくわからないアレです)を読んでいたら、ジョブズは他にもいろんな交差点に立っていたようなので、まとめてみました。

原文 日本語訳 ページ
humanities and sciences 文系と理系 上4
the arts and technology アートとテクノロジー 上82
creativity and technology 創造性と技術 上370
aesthetics and technology 美と技術 下145
art and technology アートとテクノロジー 下150
great content and great technology すばらしいコンテンツとすばらしいテクノロジー 下240
technology and liberal arts テクノロジーとリベラルアーツ 下320
Liberal Arts Street and Technology Street テクノロジー通りとリベラルアーツ通り 下367
artistry and technology 芸術と技術 下423
humanities and science 文系と理系,人文科学と自然科学 下425

「humanities and science」が「文系と理系」になっているのは翻訳の間違いでしょう(Google翻訳では「文系=humanities」でした。ずいぶん違うんじゃないかと思いますけどね。そもそも、日本の「文系」に相当する英単語ってあるんですかね)。

「テクノロジーとアート」、この2つが直交していること、その交差点に立つことが重要なのはわかります(「art」には「技」という意味もありますが、いわゆる「芸術」だと考えていいでしょう)。

「創造性と技術」、創造性のないところで技術が発達するとは思えないので、「技術の伴わない創造性はダメ」ということだと解釈したいのですが、そういう感じではなかったです。

全体を通じて、「テクノロジーとアートとリベラルアーツの交差点」が正しいのではないかと思いました(リベラルアーツの古い意味を採用するのでなければ)。これなら「文系と理系」みたいな訳語が出てくることもなかったでしょう。「テクノロジーとアート」あるいは「テクノロジーとリベラルアーツ」としたのはシンプルさを愛したジョブズならではなのかもしれませんが、「必要以上に単純化してはならない」という原則には反していると思います。

Mac OS X 10.8 Mountain Lionで失われた類語辞典を求めて


「日本語に類語辞典はいらない」とAppleが判断したということなのでしょうか。

Mac OS X 10.7 Lionの辞書アプリには以下の日本語関係辞書が含まれていました。

  • 大辞泉(小学館)
  • プログレッシブ英和・和英中辞典(小学館)
  • 類語例解辞典(小学館)

Mac OS X 10.8 Mountain Lionの辞書アプリに含まれている日本語関係辞書は以下の通りです。

  • スーパー大辞林(三省堂)
  • ウィズダム英和・和英辞典(三省堂)

大辞泉が大辞林に、プログレッシブはウィズダムになったのはいいのですが、類語辞典が無くなったのは明らかに劣化です。大辞林が類語辞典を兼ねるわけでもありませんし。(皮肉なことに、大辞泉の語釈には類語も記載されているので、類語辞典を兼ねられます。)

iOSを5から6にアップデートすると地図が劣化するというひどい話がかつてありましたが、Mac OSのアップデートは有料なのでもっとひどいです。お金を払うと類語辞典が無くなるという。信仰を試す相手は熱狂的な信者だけにしてほしいものです。

10.7 Lionが手元にあれば、/Library/Dictionariesのファイルをコピーすればいいようですが(参考:最高の辞書環境を目指して)、そうでない場合はインストールメディアからサルベージするのでしょうか。

  1. LionをApp Storeからダウンロードし直す(これができない人にこの記事は無意味です)
  2. アプリケーションの「Mac OS X Lion インストール」をCtrl+クリック、「パッケージ内容の表示」をクリックする
  3. Contents/SharedSupport/InstallESD.dmgをダブルクリックする
  4. cd ~/Desktop #別の場所でもいい
    pkgutil --expand "/Volumes/Mac OS X Install ESD/Packages/Essentials.pkg" ./tmp
    ditto -x --bom ./tmp/Bom ./tmp/Payload ./
  5. ライブラリ/Dictionariesの中に小学館の辞書がある

参考:Mac OS Xのパッケージファイルを操作する

世界一軽い日本のことば


ジョブズの遺志をガン無視した犯人、それは講談社さんアンタだよ!

ジョブズの伝記の装丁が、日本語版だけひどいと話題になっていました(左が英語版・右が日本語版)。

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「帯を外せば問題ない」という人もいるかもしれませんが、ジョブズがマークラから学んだ印象の重要性、

人は“表紙で書籍を評価する”(本書で何度か登場するが、例えば下巻p. 100)

からすれば、「Steve Jobs」と「スティーブ・ジョブズ」を両方大きい文字で書いているようでは、よく評価されるのは難しいでしょう。

個人的には、原書が1冊のものを分冊で翻訳することに文句を言いたいのですが、そういう重さの話はまた別の機会に。

真犯人は私たち消費者なのではないでしょうか。私たち消費者の好みに出版社が合わせているだけなのではないでしょうか。

似たような本なのに売り上げが全然違う。その原因を分析して、「デザインが派手だった」とか「帯の文句が目を引いた」という結論になる、ということはよくありそうな気がします(確証はありません)。

タイトルでも似たようなことは起きていそうです。邦題のタイトルがあまりに大げさだと思って調べると原題は冷静なものだった、というのはよくあることです。

『世界で一番美しい元素図鑑』の原題は The Elements でした。

『世界でもっとも美しい10の物理方程式』の原題は The Great Equations でした。

『世界でもっとも美しい10の数学パズル』の原題は The Liar Paradox and the Towers of Hanoi でした。

『世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント』の原題は The Complete Idiot’s Guide to Project Management でした。

「世界」にはいろんな意味があるので、もしわかしたら私の解釈が間違っているのかもしれませんが、「日本ではこういう恥知らずなタイトルの方が売れる」という経験則を出版社が持っているのなら、その原因の一部は消費者にあるはずです。

『もっとも美しい対称性』の原題は Why Beauty Is Truth でした。

A Beautiful Mind『ビューティフル・マインド』という邦題で成功したにもかかわらず、
A Beautiful Math『もっとも美しい数学 ゲーム理論』という邦題で出してしまうのにはちょっとあきれました(内容は素晴らしい)。ジョブズもよく「最高の」って言っていましたから、ことばに関して言えば、通じるものがあるような気もします。

475714279X『都市は人類最高の発明である』の原題は Triumph of the City でした。

4569805744タイトルがインフレを起こしているのは翻訳書に限りません。もともと日本語で書かれた本の方が先を行っているかもしれません。『超・超面白くて眠れなくなる数学』なんて、もう、タイトルだけでおなかいっぱいです。

もっとも、政治家を引き合いに出すまでもなく、日本のことばは「軽い」ものなので(このブログのように)、重要さをアピールするためには、「世界一の」とか「最高の」、「もっとも」といった、重い修飾語が必要になのかもしれません。

恥知らずなタイトルが日本のことばの軽さを表しているのだと思えば、軽やかな気分になれるというものです。ジョブズの伝記の装丁も、そんな軽さの表れと言えるのではないでしょうか。

機械翻訳を使って日本語→英語→日本語…(Bing版)


「翻訳に不動点はあるか—我々は生活の中で美しいを破壊している by Google」では、Google Translate APIを使って「日本語→英語→日本語」や「英語→日本語→英語」を1クリックでできるようにしていました。Google Translate APIが終了してしまうということなので、作り直さなければなりません。

先日で紹介したMicrosoft Translator V2がここでも使えます。翻訳APIを使えるようになるとまず、日本語→英語→日本語…みたいなことを試したくなるものなので、練習にもちょうどいいでしょう。

Open Questions

翻訳エンジン自体が不変のものではないので結論を出せるものではないかもしれませんが、以下のそれぞれに該当するものはあるでしょうか。

  1. 収束しない(測定可能な周期での振動もしない)
  2. 測定可能な周期で振動する

お約束ですが、ボタンを押した時の動作の実装方法やAPIを使う基本的な方法については、拙著『Webアプリケーション構築入門』に書いてあります。