ザ・サークル


4152095113デイヴ エガーズ『ザ・サークル』(早川書房, 2014)

デジタル時代の人権(p.511)

  1. 我々はすべて匿名の権利を有しなければならない
  2. すべての人間活動が数値化できるわけではない
  3. あらゆる試みの価値を数値化するために止むことなくデータを追うのは真の理解を破滅させる
  4. 公と私の壁は破られてはならない
  5. 我々はすべて姿を消す権利を有しなければならない

この権利を望む人がいたときに,サポートできる力を持っていたいものです。

秘密は嘘,分かち合いは思いやり,プライバシーは盗み(p.323)

追記:映画化

舟を編む


4334927769三浦しをん『舟を編む』(光文社, 2011)が映画になり、DVDになりました。

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原作でも映画でも、一つのものを時間をかけてゆっくり作っていく人たちの姿には、(フィクションとはいえ)頭が下がります。

原作で印象的だった、公の団体ではなく出版社が辞書を作る理由についての、松本先生のこの台詞は使われていませんでした。(ポイントを絞って映画化するのは当然です。)

公金が投入されれば、内容に口出しされる可能性もないとは言えないでしょう。また、国家の威信をかけるからこそ、生きた思いを伝えるツールとしてではなく、権威づけと支配の道具として、言葉が位置づけられてしまうおそれもある。(中略)言葉は、言葉を生みだす心は、権威や権力とはまったく無縁な、自由なものなのです。(p.226)

「漢字」とはちょっと違いますね。学問とも?

逆に、映画だけにあった印象的な台詞は、宮﨑あおいさんの「今でしょ」でしょ。

関連:辞書を編む

489629257X追記:国家的辞典の失敗の記録:飛田良文『国立国語研究所「日本大語誌」構想の記録』(港の人, 2012)

婚姻届提出わず


一昨日2013年5月4日、東京都江東区役所に婚姻届を提出しました。昨年から江東区に住んでいます。日本国憲法によれば、婚姻は「両性の合意のみに基いて成立」するものなので、婚姻届の提出に二人の証人の署名が必要な現行のシステムは、憲法違反なのではないかと思うのですが、そういう文句は言いません。

婚姻後の夫婦の氏は、夫の氏つまり「矢吹」にすることになりました。「氏」の考え方と「姓」の考え方を混在させるのに比べれば、どちらかに統一した社会システムの方がよく、どちらかを選ぶ合理的な理由もないので、現行のままでよいと思います(「夫婦別姓」を唱える前に)。

いろいろとありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

10月に結婚式を挙げます。いわゆる披露宴や二次会は行わず、式後即解散の予定です。

独立国家のつくりかた


4062881551坂口 恭平『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書, 2012)

35年ローンで家を持った人に会って、なぜ自分が勤めている会社が三十五年もこの最悪の日本の経済状態で生き残れると思えるのですか? その論理的根拠は何ですか? と聞いても、誰も答えてくれない。(p.70)

生き残る論理的根拠があるわけではなくて、生き残るべく働いたり、生き残りやすい社会に誘導しようとしたり、生き残りにくくなりそうな変化を阻止しようとしたりするわけですよね。どちらも、個人ではなく集団でやることなので、それなりに効果はあるでしょう。

そういうほとんど無意識に発生する努力の結果が、社会全体にとって利益になっていれば問題ないのですが、一部の人たちのためにしかなっていない、もしかしたら努力した人たちのためにすらなっていない現状はどうにかしたいところです。

こういう現状を生みだしている社会システムは、さまざまな要素が複雑にからみあったものになってしまっていて、いまさらほどいて解決するのはほとんど不可能です。「絡み合ったものを一刀両断して・・・」という方針は、選挙の時には有効なようですが。

でも、あきらめてはいけません。この本に書いてあるように、別のレイヤーで考え、生きればいいのです。その実践は、簡単なものではありませんが、

そんなの『おしいれのぼうけん』と『エルマーのぼうけん』と『オズの魔法使い』とか、ふつうに僕が幼い頃に読んでいたものを記憶していればわかることなのに、なんで忘れているのだろう(p.163)

たぶん私は読んでいませんが、思い出して考えます。

こういうことを他人に伝えようという情熱を持った人がいて、それを大手出版社が本にする。メジャーのレイヤーも、捨てたものではありませんね。

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Googleはそのミッションを変更する時期に来ているのでは?


Googleの現在のミッションは、

世界中の情報をアクセス可能にし、人々の役に立てる

だとされています。しかし、この「世界中の情報」に「Googleの検索アルゴリズムの詳細」は含まれていません。「Googleで検索して出てこないものは存在していないに等しい」と言われる時代、Googleのアルゴリズムは世界の成り立ちを決めていると言ってもいい時代です。検索結果に「Googleのアルゴリズム」が含まれていないのなら、それは「世界中の情報」とは呼べないでしょう。近いうちに出てくるということもないでしょう。ミッションはインポッシブルなのです。

Googleも営利企業ですから、自社の優位を保つために秘密を持つのはかまいません。そのこと自体を邪悪だとも思いません。でも、実現する気のないミッションを掲げたままにしておくのはいけません。邪悪です。

ついでに言うと、「アルゴリズムの詳細を公開するとチートされる」という言い方もどうかと思います。単純に「自社の優位を保つため」でいいと思いますが、それでは足りないというなら、せめて「世界中から優秀な人材を集めているが、公開してもチートされないようなアルゴリズムはまだ思いついていない」くらいにしておいてほしいものです。アルゴリズムとデータが分離できないような方式とか、いろいろやりようはあると思うのでがんばってください。

4484111160こんなことを考えたのは、レヴィ『グーグル ネット覇者の真実』(阪急コミュニケーションズ, 2011)を読んだからです。そこで紹介されていたジャック・ロマノス(サイモン&シェスターの元CEO)の発言が、最近のGoogleをよく表していると思います。

「ひたすら理想を追求しているかのような態度を取り、世界の知を拡大することだけが目的なのだと言うくせに、次の瞬間には、自分たちの流儀を受け入れなければ、今回の話はなかったことにすると言う」(p.565)

こんなことを言われない古き良きGoogleが私は好きでした。

http://rickwebb.tumblr.com/post/14467269283/god-i-am-getting-so-fed-up-with-google-this-is

グーグル検索の変化–問われる検索結果の関連性