素数はなぜ人を惹きつけるのか


4022736038竹内 薫『素数はなぜ人を惹きつけるのか』(朝日新聞出版, 2015)

p.181で紹介されていたアニメーションを作ってみました(コード)。オリジナルの完成度にはかないませんが。

1から60まで(1分)

1から600まで(10分)

p.34 図表3
「整数は自然数と0からなる」(負の整数が抜けています。)
p.43
「300万以下の素数」は「21万6745個」(21万6816個ではないでしょうか。)
p.121
「自明」なもの(証明できるもの)に公理(証明できないもの)を含めています。
p.172とp.182
音階の定義が混乱しています(平均律とピタゴラス音階)。民族音楽の「民族らしさ」は、振動数の微妙な違いによるもののほかに、使う音の違いによるものもあるのではないでしょうか(例:琉球音階)。

戦場のガールズ・ライフ


4582206794岡崎京子さんは、私より早く来た(必ずしも年上ではない)人たちのものです。私はちょっと遅れて、遅れた気分で読んだわけですが、『戦場のガールズ・ライフ』(岡崎京子展公式図録)はその気分をよみがえらせてくれました。時代はずいぶん変わってしまいましたから、今読んでも新しいとは言えません。でももし彼女が今を描いたら、それはすごいことになるでしょうね。

4582836828『オカザキ・ジャーナル』で初めて、高校生の頃に疑問だった、新宿西口の「私の志集」の謎が解けました。

大学一年生に薦めた7冊の本


とあるイベントで、大学一年生に本を7冊薦めました。

  1. 4864103038中山『出ない順 試験に出ない英単語』(飛鳥新社, 2014)
  2. 1628250054PMI『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)』(PMI, 第5版, 2014)
  3. 4163752501朝井 リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』(文藝春秋, 2012)
  4. 4484881047ジェームス W.ヤング『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス, 1988)
  5. 4480081216木下 是雄『レポートの組み立て方』(筑摩書房, 1994)
  6. 4480020470外山 滋比古『思考の整理学』(筑摩書房, 1986)
  7. 4480064702福澤 諭吉, 斎藤 孝『学問のすすめ 現代語訳』(筑摩書房, 2009)

数学文章作法 基礎編


448009525X結城浩『数学文章作法 基礎編』(筑摩書房, 2013)(参考文献リストあり・索引あり)

『数学ガール』で独自のジャンルを打ち立てた著者による文書読本。①文章の書き方を学んだことのないすべての人向けの部分(1~3と7, 8章)と、②数式を含む文章を書く人向けの部分(4, 5章)、③教科書のようなものを書く人向けの部分(6章)からなる。

コンパクトにわかりやすく書かれているのがとてもよく、①の部分、特に最初の3章は、いわゆる理系ではない人にも勧められる。ただし、タイトルに「数学」が入っていることが、理系でない人に勧める際の大きな障害だ。最初の3章だけ読むことのコストパフォーマンスも・・・

文章読本はほかにもいろいろあるが、本書には、『数学ガール』の執筆において著者がしている工夫を垣間見るという、副読本的な楽しみ方ができるという特徴がある。例示Aすると、『数学ガール』で例示Bが少ないところは、著者にとって理解Bが難しいところの例示Cなのだと、理解Cするようになる、と理解Aした(「例示は理解の試金石」)。

細かいこと

  • 形式が大切であることに異論はないが、欠けたカップで出されても、おいしいコーヒーはおいしいと思う(p.27, 181)。
  • 「a, b, c, d, eは定数」などという文字の使い方がp.104で紹介されていて、こういうことまで教えるのはさすがだと思ったのだが、これはどのくらい一般的なものなのだろうか。(数学の特定の分野の話?)
  • 4121006240参考文献でも挙げられている木下是雄『理科系の作文技術』(中央公論社, 1981)の、「式も文の一種とみてコンマやピリオドをつける(p.168)」というたてまえを、採用しないのはいいとして、紹介くらいはしてもよかったのではないだろうか。

すぐ役に立つ●●はすぐ役に立たなくなる


これは私の指導原理の一つです。

先日大学の先生と話していて、「そういうことは戦前から言われていたらしいですね」と言われました。この言葉の起源として、そのとき私の頭に浮かんだのは、先日「東大の教養、東工大の教養」で紹介した、池上彰『池上彰の教養のススメ』(日経BP社, 2014)の次のような記述でした。

慶應義塾大学の中興の祖といわれ、今上天皇にご進講した小泉信三は、かつて学問についてこんな言葉を残しています。

「すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる」(p.3)

橋本武さんもそういうことを言っていた気がしますが、『銀の匙』授業が始まったのは戦後なので、小泉さんのほうが古そうです。(参考:奇跡の教室—エチ先生と『銀の匙』の子どもたち

4004150876というわけで小泉信三『読書論』(引用文献リストあり・索引なし)を読んでみたのですが、ちょっと想像と違うことが書かれていました。

先年私が慶応義塾長夜任中、今日の同大学工学部が始めて藤原工業大学として創立せられ、私は一時その学長を兼任したことがある。時の学部長は工学博士谷村豊太郎氏であったが、識見ある同氏は、よく世間の実業家方面から申し出される、すぐ役に立つ人間を造ってもらいたいという註文に対し、すぐ役に立つ人間はすぐ役に立たなくなる人間だ、と応酬して、同大学において基本的理論をしっかり教え込む方針を確立した。すぐ役に立つ人間はすぐ役に立たなくなるとは至言である。同様の意味において、すぐ役に立つ本はすぐ役に立たなくなる本であるといえる。(p.12)

もの・人間・本と、すぐ役に立ってもらいたいもののバリエーションはありますが、とりあえず、小泉信三さんが起源ということではなさそうです。