奇跡の短編集 ボルヘス『伝奇集』

4003279212知識や無限について語る者を惹きつけてやまない『バベルの図書館』。平野啓一郎がオマージュを捧げたこのテーマを、私も長く追求している。エヴェレットよりはるかに早く多世界解釈のアイディアを記述した「八岐の園」(『宇宙をプログラムする宇宙』)。ユダに関する膨大な文献の筆頭にある「ユダについての三つの解釈」(『原典 ユダの福音書』)。柳瀬尚紀をして「記憶について、ここまで考え抜いて書いた作品はちょっとない」と言わしめた「記憶の人、フネス」(『勝ち続ける力』)。一編あれば大成功だと言えるレベルの作品が、この『伝奇集』にはごろごろしている。未読の君には、人生の大きな喜びが残されているのだよ、S君。

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  1. 『伝奇集』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス著、鼓直訳 岩波書店 1993

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