Windows 7は、32ビット版と64ビット版のどちらを使うのがいいのでしょうか。
絶対欠かせないソフトウェアが64ビット版では動かない場合、32ビット版を使うしかありません。そのソフトのためだけにVirtualBoxのようなを使ってもいいのですが、たいていの人はそんなことはしたくないでしょう。
4GB以上の主記憶を使いたい場合には、64ビット版を使うしかありません。32ビット版ではそれだけのメモリを使うことはできないからです。
上記2点のどちらにも当てはまらない場合はどうしたらいいでしょうか。
Mathematicaが大好きな人には(あるいは大好きじゃなくても、Mathematicaをよく使う人には)、64ビット版がおすすめです。変わらないという話もありますが、少なくともベンチマークでは圧倒的な差が出ます。
OSをクリーンインストールして(Vistaの場合はマザーボード付属のCDで各種ドライバをインストール)、本稿執筆時点でのWindows Updateで自動的に選択される更新をすべて適用した状態で、Mathematicaをインストールし、ベンチマークを実行した結果は次の通りです(利用したマシンはIntel Core i5 750 2.67GHz, 主記憶4GB)。
- Windows Vista SP2 (32 bits): 5.05(ちなみに、インストール直後は4.98)
- Windows 7 (32 bits): 5.21
- Windows 7 (64 bits): 5.95
Mathematicaに関して言えば、64ビットにすることの効果はかなり大きいようです。
とはいえ、どんな計算でも速くなるというわけではありません。ベンチマーク結果とソース(省略)を詳しく見ると、計算が速くなるのはデータフィッティングやπの計算、離散フーリエ変換、ガンマ関数、大きな整数の計算、行列のべき乗、行列の転置などだということがわかります。
項目 | Vista SP2(32 bits) | 7 (32 bits) | 7 (64 bits) |
---|---|---|---|
Total | 17.08 | 16.53 | 14.49 |
Data Fitting | 1.23 | 0.97 | 0.69 |
Digits of Pi | 0.64 | 0.61 | 0.39 |
Discrete Fourier Transform | 0.56 | 0.47 | 0.36 |
Eigenvalues of a Matrix | 1.15 | 1.08 | 1.06 |
Elementary Functions | 0.94 | 1.05 | 1.00 |
Gamma Function | 0.50 | 0.47 | 0.27 |
Large Integer Multiplication | 0.80 | 0.80 | 0.50 |
Matrix Arithmetic | 2.12 | 2.14 | 1.78 |
Matrix Multiplication | 1.09 | 1.08 | 1.20 |
Matrix Transpose | 1.34 | 1.36 | 0.84 |
Numerical Integration | 1.84 | 1.70 | 1.75 |
Polynomial Expansion | 1.23 | 1.19 | 1.14 |
Random Number Sort | 1.37 | 1.37 | 1.23 |
Singular Value Decomposition | 1.08 | 1.00 | 1.05 |
Solving a Linear System | 1.19 | 1.28 | 1.25 |