Wordで作った文書が素人臭くなる理由(その4)


デフォルトの欧文フォントがどういうわけかCenturyなのです。

Windowsに付属するCenturyはちょっと中途半端なフォントで、イタリック体がありません。Wordの「i」と書かれたアイコンは、イタリック体にするためのものだと思うのですが、Centuryのイタリック体はないので、下のような斜体になります。

century

斜体はローマン体を単に傾けただけのものであって、イタリック体ではありません。それにも拘わらずCenturyを使う人は、ちょっとどうかしてるんじゃないかと思います。サンセリフの場合はイタリック体=斜体でもいいのですが、Centuryはセリフなので、イタリック体と斜体を同一視してはいけません。たとえば、Palatinoでは下のようになります。ローマン体とイタリック体では、デザインがかなり違います。

palatino

Times New RomanやPalatinoのような、筆記体風のイタリック体のある立派なフォントが備えられているのに、なぜデフォルトの欧文フォントがCenturyなのか、なぜイタリック体のためのアイコン「i」で斜体にせざるをえないようなフォントを使うのか、Microsoftの製品には、私の想像の範囲を超えることがたくさんあります。

欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド) (単行本)小林章『欧文書体』によれば、Times New Romanの作者であるスタンリー・モリスンは、1926年の論文「理想的なイタリックに向けて」の中で、「完璧なイタリック体はすなわち傾いたローマン体である」と書いているそうです(p. 18)。モリスン自身はこのアイディアに執着しなかったことはTimes New Romanに筆記体風のイタリック体があることからわかりますが、Microsoftはこのアイディアを忠実に継承しているということなのでしょうか。

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