ついに無料になったMathematica

追記:デスクトップのすべての機能が使えるわけではありませんが,クラウド版も無料で使えます。(こちら

Raspberry Piという特定のプラットフォーム上でのことですが、ついにMathematicaが無料になりました。

The Wolfram Language and Mathematica on Raspberry Pi, for free

かつてNeXTにバンドルされたこともあったらしいのですが、Mathematicaの価格は、それを無視できるほど高いNeXTの価格に含まれていたと考えるのが妥当で、無料になったのは実質的には初めてです。(Mathematicaについてよく知らない人はWikipediaへ、入門はMathematicaラーニングセンターから)

B00CBWMXVERaspberry Piは、Amazonでも4000円程度で買えますが、今回の発表でその価格が変わったということもありませんから、Mathematicaは無料ということでいいでしょう。ちなみに、x86やx64のWindowsやMac OS、Linux上で動くMathematicaは、通常版が約40万円、アカデミック版が約20万円(プレミアサービスの更新料が約5万円/年)、ホーム版が約5万円、学生版が約2万円です(参考)。

追記:性能が向上したRaspberry Pi 3がお勧めです。

Mathematica(の一部)が無料になるという話を最初に聞いたのは2005年のこと。Mathematicaで何か作っても、その価格のせいで使える人がほとんどいないという空しい状況が改善されると期待したものです(当時のブログ記事)。それから8年、何の音沙汰も無かったので、無料化の話はなかったものとして、Mathematicaが高くて買えない人でもその機能をある程度使えるようにする方法(Universal Mathematica Manipulator)を考えたりしていました。

というわけで、首を長くして待っていました。

インストールはとても簡単です。

sudo apt-get update && sudo apt-get install wolfram-engine

GUIで試すときはEducation→Mathematicaを使います。(下はVNCで接続した様子)

CUIで試すときはコマンドwolframを使います。(下はSSHで接続した様子)

MathematicaのバージョンがPC版の9.0.1から10.0.0に上がっていますが、直っていないバグがあるようですね(NMinimizeAgglomerateFindClustersTable)。

動作がすごく重いのですが、QEMU上のRaspbian(WindowsあるいはUbuntu)やユーザーモードエミュレーション(ホストが速ければ実機より速いと思われる)で動かすのはライセンス違反なんですね。