小塚明朝では区別され、ヒラギノ明朝では区別されない漢字のペア239組

以下に掲載する漢字のペア239組は、小塚明朝 Pr6N R(バージョン6.014)では形が区別されていますが、ヒラギノ明朝 ProN(Ver. 8.10)では形が区別されていません(厳密に言えば、ヒラギノ明朝で、形は区別されていなくても位置が違うものが2字あります)。(小塚明朝PDF版ヒラギノ明朝PDF版

他にもあったら教えてください。

よく見ないとわからないものもありますが、小塚明朝では確かに形が違います。これらの文字が、ヒラギノ明朝では同じ形になっているというわけです。(図中の数字はCID)

たとえば、

CID=6930とCID=13407を区別すべきだとは、個人的には思いませんが、区別して出力するためには、安岡さんの論文で紹介されているようなCIDに対応したシステム(TeXも含まれる)と、2つのグリフが本当に違っているフォントが必要です。ですから、「TeXを使えばCID=6930とCID=13407を区別して出力できる」という言い方はちょっと不正確です。ヒラギノ明朝では区別して出力できません。

こうなると、ヒラギノ明朝がAdobe-Japan1に準拠しているとは言えないような気もしてきますが、上に示したような漢字に限って言えば、ヒラギノ明朝のポリシーを尊重してもいいでしょう。しかし、Adobe-Japan1-4 & APGS実践情報を見ると、非漢字も考慮するなら、ヒラギノ明朝がAdobe-Japan1に準拠しているとは言いにくいようです。(リンク先で指摘されていた差異は、Adobe Technical Note #5078のp.3で許容されたものでした。)

参考:グリフの区別とヒラギノのデザインコンセプト 2

おまけ

小塚明朝の漢字はすべて形が違うかと言うと、そういうことでもないようで、下の小塚明朝の2組は同じ形です。(この2組は上の239組の中には入っていませんが、ヒラギノ明朝でも同じ形です。)

追記:Adobe Technical Note #5078のp.10によれば、喩(CID=4411)とCID=7984、渣(CID=5459)とCID=7994のペアの形も同じはずですが、小塚明朝の実装では違っています。(参照:小塚明朝では区別され、游明朝体では区別されない漢字のペア2組