朝日の記事から(いまいましいことに、ウェブ上の記事はそのうち消える)
妊娠や分娩(ぶんべん)がもとで妊産婦が死亡する確率に、都道府県によって5倍以上の差があることが、厚生労働省の研究班の調べでわかった。過去10年間の平均をとったところ、最も低い広島が出生10万件あたり1.84人だったのに対し、最も高い京都は10.70人。
これは全数調査だから(数えられていない出産が無いとは言わないけれど、無視してもおこらないよね)、差があると言われればそのとおり。でも、10万人に約10人と10万人に約2人っていうのは、大騒ぎするほどの違いなのかね(もちろん人命は大事)
死亡率っていうのはまあ、死者数/全件数なわけだけど、出産するときに死亡する確率のほうが興味あるよねえ(突き詰めれば「確率とは何か」という話になる)
じゃあ、広島の妊産婦死亡率(Ph)と京都のそれ(Pk)が本当に違うのかっていうと微妙な話になる
この調査は10年間の平均らしいけど、面倒だから、厚生労働省統計表データベースから平成17年の出生数だけを持ってきてみると、広島は24740件(Nh)、京都は21560件(Nk)
件数が多いから死者数(S)は正規分布になると思っていい。つまり
Z = (S – N P) / Sqrt[N P (1 – P)]は平均0、分散1の正規分布になるとしてよい
「Ph = Pk」を仮説とすると、
Z = (Sh – Nh Pk) / Sqrt[Nh Pk (1 – Pk)] = -1.35 < -19.6 = -Z(0.025)
結論:広島の妊産婦死亡率は、京都のそれが同程度だと考えて悪くない(主語を変えれば別の話もできるけど、それでも全国平均(6.39)となら同程度と言える)