柳瀬尚紀は天才である


日本語は天才である

新刊は必ずチェックすることにしている柳瀬尚紀さんの『日本語は天才である』が出た。

主に翻訳に関連して編み出した日本語の技を、これでもかと見せつけてくる。読んでいて「かなわないな」と思うのもいつも通りなら、著者の妙に謙虚なところもいつも通り。

謙虚さが高じて「日本語は天才である」ときた。でも、これを真に受ける人はいないと思う。いくら日本語が高い能力を秘めているとしても、それを彼ほどに引き出せる人は他にいないでしょう。「お説教調になるからやめましょう」などと言ってないでどんどん発言してほしい。

とくに若い読者に、国語辞典の「お」と「お」で始まる語を全部、読んでみることをお勧めします。日本語は「お」一つで上げ下げが自在にできる臨機応変の天才だということに驚かれるでしょう。(p.115)

まあ、かつて『翻訳は実践である』で集英社版『ユリシーズ』をたたいたせいで自身の翻訳が出版できなくなっているという噂が本当なら、適当にバランスをとるのも必要なのかもしれないけれど。

別の話

『辞書はジョイスフル』でも書いていたことだけれど、本当に、『新潮現代国語辞典』が好きなんですねえ。でも、私は、柳瀬さんの英語辞典をずーと待っているんですけど。もちろん、ユリシーズも。

別の話

文化審議会国語分科会は、大野晋『日本語の年輪』という文庫本一冊を全国の国語教師に読ませることの法令化を考えたほうがいい。ぼくは真面目にそう思います。(p.118)

同感です。国語教師だけでなく、国会議員先生様もお読みになるとよろしいかと存じます。自民党の先生方は「うつくしい」の章を、共産党の先生方は「まつり」の章を。でも議員先生方は、p,119で紹介されている太宰治『きりぎりす』が先ですか(この本を読むといいのは、政治家よりも、男を変えたがる女だったり?)

別の話

第5章「かん字のよこにはひらがなを!」はルビについての興味深い文書(参考

4101480125文庫化された。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です