なごみ 10月号の特集は「一〇〇年目に読む岡倉天心」。
近頃評判になっている武士道すなわち死の術などよりはるかに文明的で平和的な生の術なのです
という感じで、時流に逆らって生きた岡倉天心を、時流に逆らって紹介している。
「なごみ」を読んでいて『茶の本』を読んでないってことはないんじゃないかと思うんだけど、どうなんだろう。「なごみ」を読んだことがないような人を惹きつける工夫が足りないんじゃないかな。
たとえば、ハイデガーの「世界内存在」は『茶の本』の“beging in the world”のぱくりだという説を紹介すれば、「哲学好き」や「人工知能好き」を惹きつけられるかもしれない。
これに限らず、『茶の本』にインスパイアされた例をもっと紹介してほしかったなあ。
たとえば、Optima, Palatino, Zapfinoで有名なHermann Zapfは、茶の本の一節を使って、いかしたクリスマス・カードを作っている。カードは『30センチメートルの友情』で観られるけど、この本には、日本のタイポグラファによる作品(使ったのはZapfと同じ節)も収録されていて面白い。でも、その一部がZapfの逆鱗に触れたらしい。片塩二朗『ふたりのチヒョルト』によれば、
こんなにおもみのあることばを、切り刻み、分断し、脈絡のない文字のカケラのような姿にすることは、日本のデザイン界では許されるのでしょうか。(中略)デザイナーは演技者ではありません。デザイナーは先ず第一に、作家が書いた文章にたいして召使いであるべきなのです。ですからデザイナーには、自己修練という重荷が課せられますし、何世紀にもわたる、伝統に対する責任という重荷も背負っているはずなのです。(p.318)
「中略」とかしてしまって、すみません。
英文でもいいから今すぐ『茶の本』を読みたいとか、“beging in the world”を検索したいという向きはProject Gutenbergへ。
「グーグル対抗の検索エンジン」や「特定のファイルをネットから消す技術」に使うお金があるなら、お願いだから日本語版『茶の本』も、ウェブで読めるようにしてほしい。
Google Libraryにスペインの大学図書館が参加、多言語化へ第一歩(INTERNET Watch)
Explore Shakespeare with Googleなんてみると、やばいと思うよねえ。
個人的に活字の本は字が多いのでディスプレイではなくて紙のほうが読みやすいです。
ディスプレイ長い時間見てると目がチカチカするし肩が凝るもので・・・
ちなみに『茶の本』は読んだことないので今度読んでみマス!
茶道なんて、「道」としては
全く大したことはないと思うけど
権力の表象・象徴(よく言えばコンセプチュアル・アート)としての
意味合いには興味深いものがあります。
そしてそれが海外からどう見られるか
という部分だよね。
ヒント:千利休も今井宗休も堺の武器商人。
a5804052さん
いや、ディスプレイで読みたいというわけではないんですよ
検索ということに関しては、電子化しておいたほうが絶対いいはずだと言いたいんです
検索することの意義には議論の余地があると思いますが、私は検索したいんです
読書ということなら、高品質の活字で印刷され、製本された形がやはりいいと思いますよ
武士道すなわち死の術とは笑止であります。
武士道はよりよき生の術にほかなりません。
茶の湯なるものは柔和惰弱にして虚礼遊戯なりとて賤しんできた私ですが、
「へうげもの」と「武士道」を読んで最近漸く興味が湧いてきました。
岡倉の「茶の本」がどれほどのものか、今度ぜひ読んでみたい思います。
いけ田さん
まあ、熱烈におすすめってことでもないけどさ、まあ、悪くないと思うよ