ヒラギノ基本6書体パックは、明朝2書体とゴシック3書体、丸ゴシック1書体で構成される書体セット。希望販売価格が47,250円の高級書体だ。
Mac OS Xにも標準搭載されているこの書体だが、デザインにこだわるはずのマック・ユーザーの多くが、その使い方を間違えている最大限に活用してはいない。私自身は文字の形に強いこだわりはないからどうでもいいのだが、「デザインにはこだわりがあります」という人がぜんぜんだめな文字組をし知らずに使ってているのを見るのは忍びないからここにメモしておこう。
「ヒラギノ Pro フォントにデザインの違う仮名はいくつあるのか」を見るとわかるように、ヒラギノ明朝体にはデザインがかなり違う仮名が複数登録されている。問題は、ソフトウェアがこれらを自動的に使い分けてくれないケースが多いことだ。たとえば、Mac OS Xに標準搭載されるテキストエディタで「横組み」の文書を書いてPDFにしたときに、埋め込まれる仮名の形は、なんと「縦組み」用のものなのだ「横組み」用のものではないのだ(図)。
たとえばIllustrator CSなら、下のようなUIで横組み用の仮名を選択できる。
下のようになる。
LaTeXの場合は、パッケージotfのオプションexpertを指定しておけば、適切な仮名が選択される(plextは縦書きのためのパッケージ)。
\documentclass{jarticle} \usepackage{plext} \usepackage[expert]{otf} \pagestyle{empty} \begin{document} ありくい(横書き) \begin{minipage}<t>{10cm} ありくい(縦書き) \end{minipage} \end{document}
これをもとにPDFを作って、Acrobatでフォントを確認すると、下のように2種類のフォントが埋め込まれていることがわかる。
さらに、deluxeオプションも付ければ、LaTeXでヒラギノOpenType基本6書体をすべて使えるようになる。(参考:[改訂第4版] LaTeX2ε美文書作成入門)
\documentclass{jsarticle} \usepackage[expert, deluxe]{otf} \pagestyle{empty} \begin{document} \noindent 明朝体レギュラー\\ {\gtfamily ゴシック体レギュラー}\\ {\bfseries 明朝体ボールド}\\ {\gtfamily\bfseries ゴシック体ボールド}\\ {\mgfamily 丸ゴシック}\\ {\gtfamily\ebseries 極太ゴシック}\\ \end{document}
ヒラギノ明朝のデフォルトの仮名は、縦組みを重視しているものの、あくまで縦横両用としてデザインされているようです。
なので、ヒラギノ明朝に限って言えば、横組みの際デフォルトの仮名を用いたとしても、「ぜんぜんだめ」はさすがに言い過ぎです。
もちろんこれを意識しているかどうかは、デザインにこだわりがある人にとって、大きな差だと思いますが
手歩進さん
ありがとうございます。よくわかっていないのに言い過ぎました。訂正します。